ここで、上司に傾聴力や自己認識能力があると、対話やコーチングをやる際に、相手のことを瞬時にジャッジせずに、まずは話を聞くという姿勢がとれます。
部下は部下で見ている世界があり、上司とはまったく違う情報に触れているわけですから、いきなりジャッジされると、決めつけられたように感じて嫌ですよね。
でも、上司が、自分の中にパッと出てきた感情や思考、言いたいことに自覚的であれば、部下に対する反応をコントロールすることができます。
自分を見ているもうひとりの自分がいれば、話す間合いを考えたり、いったんは判断を保留したり、いろんな場面を見てから賢明な判断を下したりすることもできるでしょう。
チャッターとは、まさに思考と感情ですから、それを客観的に見られるようになるのは、とても大きなことだと思います。
心理的安全性とマインドフルネス
最近は、大企業において、心理的安全性という切り口でマインドフルネスが注目されてもいます。
例えば、古い日本の大企業で、「新規事業を作ろう」「自由闊達な議論をやろう」と言っても、下からは何もアイデアが出てこないということがあります。
心理的安全性が低いために、「あいつは何を言ってるんだ」と思われるのではないか、という不安が組織の中にあると、良いアイデアや建設的なディスカッションは生まれないのです。
そこで、心理的安全性を高めようという流れになったわけですが、その中にはマインドフルネスが包含されているのです。
マインドフルネスとは、「今の状況について、自分の価値判断をちょっと置いておいて、ジャッジせずに受け止めておきましょう」という考え方です。
しかし、先ほど1on1の話で少し触れたように、コミュニケーションにおいては、誰かがなにかを言ってきたとき、「それ違うぞ」と思うと、つい言い返したくなります。つまり、常にジャッジをしているのです。
これはマインドフルではありません。ですから、企業の心理的安全性を高めていくうえで、マインドフルネスをトレーニングするということは、非常に有効なのです。
(後編に続く)
(構成:泉美木蘭)
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