はやりの「1on1ミーティング」が苦痛な深い訳 心理的安全性のために必要なマインドフルネス

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チャッターそのものは良いも悪いもなく、それを良い方向に促すか、悪い方向に陥ってしまうかが問題なのです。本書を有効に使うためにも、自己認識能力を育むことも、重要ではないかと思います。

スキルには、ハードスキルとソフトスキルの2種類があります。

ハードスキルは、プログラミングやファイナンス、法律の知識を勉強しましょうといったもので、自分の収入や社会的地位に直結しますから、みんな好んで学ぼうとします。

ただ、世界的に、いまビジネスパーソンに必要とされているのは、セルフアウェアネス、マインドフルネス、共感といったソフトスキルです。

日本においては、それを習得することによって、自分がお金を稼げるというようなイメージが浮かばず、なかなか興味を持たれないのが現状です。

ソフトスキルは、個人のトラブル対処だけでなく、社内でのコミュニケーションや、心理的安全性にも応用できます。自分の状態を知っていることが原点になりますから、そこからいろんな対応ができるのです。

「己を知れ」という名言があるように、昔から、いろんな人がいろんな言葉でこのことを表現してきました。しかし、日本はそこが抜け落ちています。

1on1が逆効果になる理由

今、ビジネスのツールとして1on1ミーティングが流行っています。上司が部下のケアをするために、定期的に話を聞いて、コーチとして成長を促したり、アドバイスをしたりするものです。正しく対話が行われれば非常に有効なツールだと思います。

ただ、この1on1について、最近発見したことがあります。グーグル検索で、「1on1」の後に「あ」「い」「う」など文字を入れると、なんと、「1on1 いらない」「1on1 おこられる」「1on1 つらい」という検索候補がぞろぞろ出るのです(苦笑)。

実際に、「1on1は双方苦痛だ」という声があります。特に部下にとっては、怒られたり、詰められたりする場になっていて、本来は有用な場であるはずなのに、いちばんつらい時間だと感じて辞めてしまうケースもあります。

上司がコーチングのトレーニングを受けていればよいのですが、1on1の場をどう使えばいいのかわからず、指示を出したり、注意をする場だと捉えてしまうのです。すると、部下にとっては、心理的安全性のない場で、ただ無防備に叱られるということになり、逆効果です。

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