「ジョブ型」で失敗する会社と成功する会社の大差 仕事の理解に欠ける人事部が運営する矛盾の解消法

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そこで「メンバーシップ型」では、人事部が中心となって従業員の情報を集める。時には直接面談をしたり、時には飲み会に参加したり、時には研修での発言を聞いていたりする。

「メンバーシップ型」の人事制度を、運用はそのままに制度だけ「ジョブ型」に移行するとどうなるか。

「仕事」が中心となる「ジョブ型」の人事制度を、「仕事」の理解に欠ける人事部が運営する、という矛盾が生じるのである。

では、この矛盾が生じるとどのように不具合が生じるのだろうか。この点については、効率性の観点から説明できる。

職場の管理職は人事部員よりも、自部署の従業員が担当する仕事に対する経験度合いやスキルの程度を正確に理解できる。よって、仕事の出来栄えの評価は管理職が行うほうがずっと効率的である。

また、「ジョブ型」では、社内の資格等級は担当する仕事によって決まるので、仕事を人に割り振りする管理職が情報を持っている。昇給にしても、その基準は従業員が広く保有する能力ではなくて、その従業員が与えられた仕事をどの程度できたかの出来栄えなので、人事部ではその詳細はわからないはずである。

このように、「ジョブ型」の人事制度を人事部が中心となって運用している状況であれば、すぐに修正したい。

矛盾を解消するためのシナリオ

その際、どのような改善シナリオが考えられるだろうか。

この点について、2つのシナリオが考えられる。

【シナリオ1】

「ジョブ型」をやめて「メンバーシップ型」にもどす。

企業は、「ジョブ型」の人事制度に移行したと考えていても、その実態は依然として「メンバーシップ型」の運用がなされている場合も多い。

1990年代の終わりから2000年代の初めにかけて、大企業を中心として「成果主義」人事へ移行する現象が見られたのを記憶されている方も多いだろう。

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