従業員を「将来」で評価するのがどうも難しい事情 タレントマネジメントのはずが過去にとらわれる

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人事評価イメージ
従業員の能力やスキルに着目して人事戦略を立てるタレントマネジメントの難しさとは?(写真:タカス/PIXTA)
人々の知識、スキル、能力などを指す「人的資本」への投資を増やすべきであるという考え方が注目を集めている。
一方で、そこには「企業で良く見られる人材マネジメント上の矛盾がある」と指摘するのは事業創造大学院大学の一守靖教授。最新刊『人的資本経営のマネジメント: 人と組織の見える化とその開示』から一部抜粋して再構成。全5回の連載最終回をお届けする。

企業は従業員の何を評価しているのか

企業の人事評価には、評価の対象期間で大別すると、「過去の評価」と「将来の評価」の2種類がある。

このうち「過去の評価」は、期初に設定した業務目標に対して期末に評価する、というのが一般的なやり方である。

この評価のことを、「パフォーマンスマネジメント」と呼ぶ。

【タレントマネジメントとは】

これに対して「将来の評価」のことを「タレントマネジメント」と呼ぶ。

この「タレントマネジメント」は、アメリカの企業ではもう20年以上も前から実施されているが、日本では数年前から盛り上がりを見せるようになってきた。

テレビCMの影響などで「タレントマネジメント」という言葉が一般に広く認知されるようになったこと自体は喜ばしいことであるが、「タレントマネジメント」という言葉がやや1人歩きしている感がないわけでもない。

タレントマネジメントのプログラムの導入を検討しているという企業の方と話をすると、ある人はそれが業績評価のプログラムと勘違いしていたり、ある人は人事異動の検討に用いるツールだと考えていたりする。

どちらも全く不正解、というわけではないが、タレントマネジメントの本当のところの理解が不足しているケースが少なからずある。

タレントマネジメントとは、そもそもどのようなプログラムなのか。

タレントマネジメントとは、従業員の過去の業績と現時点でのスキルをもとに将来の能力を見極め、従業員一人ひとりの育成方針を決め、それを実行していく従業員育成プログラムである。

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