「ジョブ型」で失敗する会社と成功する会社の大差 仕事の理解に欠ける人事部が運営する矛盾の解消法

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ジョブ型雇用イメージ
人事部自身がその意義や必要性を十分に理解し、やる気にならなくてはいけない(写真:Graphs/PIXTA)
人々の知識、スキル、能力などを指す「人的資本」への投資を増やすべきであるという考え方が注目を集めている。
一方で、そこには「企業で良く見られる人材マネジメント上の矛盾がある」と指摘するのは事業創造大学院大学の一守靖教授。最新刊『人的資本経営のマネジメント: 人と組織の見える化とその開示』から一部抜粋して再構成。全5回の連載第4回をお届けする。

ジョブ型とメンバーシップ型

大手企業を中心に、「ジョブ型」の人事制度に移行する企業が増えている。

政府も、総合経済対策の柱の一つである「新しい資本主義」を加速させるために、「ジョブ型」雇用を促進していく意向を示している。

はじめに「ジョブ型」の人事制度について簡単におさらいしておこう。

「ジョブ型」は、値段が決まっている仕事や役割が先にあって、その仕事に人をつけるやり方である。

「この仕事はこういう仕事だからあの人にやってもらおう」―これは「ジョブ型」の典型的な発想方法である。

このように「ジョブ型」では、仕事が最初に来るため、人事制度を運用する際に最も大切なことは、仕事を理解すること、となる。

そこで「ジョブ型」では、仕事の情報を持っている職場の管理職が中心となって人事制度を運用しなければならない。人事部員はその仕事の専門家ではないから、仕事の詳細まで理解できない。

これに対して多くの日本企業が採用している「メンバーシップ型」は、給料が決まっている人が先にいて、その人に仕事をつけるやり方なのである。

「あの人はこういう人だから次はこの仕事をやってもらおう」―これは「メンバーシップ型」の典型的な発想方法である。

このように「メンバーシップ型」は、人が最初に来るため、人事制度を運用する際に最も大切なことは、人を理解すること、となる。

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