「部下が育たない上司」がやっているヤバい接し方 ポジティブなフィードバックを正しくするには

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部下にどう接するのがいいのでしょうか(写真:ヤシの木/ PIXTA)
新型コロナの感染状況が落ち着きつつある中、企業や組織は本格的にこれからの働き方など、未来を見据えて動き始めました。その中で大きな柱となっているのが、人材育成です。『国際エグゼクティブコーチが教える 人、組織が劇的に変わる ポジティブフィードバック』の著者であり、コロンビア大学、INSEADのMBAを経て、国内外10カ国で部下としても上司としてもキャリアを積んできた、国際エグゼクティブコーチ ヴィランティ牧野祝子さんが、上司やリーダーが陥りがちな3つの「部下指導を邪魔する思考」を解説します。

小さいときからネットに触れ、SNSなどで「いいね!」をもらってきた若い部下たちは、指摘されたり、ネガティブなことを言われたりすることにとても敏感で、誤りを正されると、そのことに落ち込み、成長まで至らないことが少なくありません。一方、承認されたり、褒めてくれたりという上司やリーダーからの「ポジティブフィードバック」は、とてもうれしく、やる気につながります。

上司やリーダーからすると、部下を育成するためには、当然、ネガティブなことも言わなくてはならず、ポジティブなことばかり伝えるなんてできないと思うでしょう。

実は、現代の部下指導がうまくいかない理由の1つに、上司やリーダーの思考があります。これによって、心のブレーキがかかってしまうのです。

「ポジティブに部下指導をするうえで邪魔になる思考」は、次の3つです。

①部下を(嘘をついてでも)褒めなくてはならないから大変 

昨今、人は、褒めて伸ばさなくてはいけない、という考え方が、日本では注目されています。そのため、頑張って部下を褒めている部下やリーダーの方をよく見かけます。

以前、あるリーダーの方から、「最近、部下を褒めるために嘘をつかなくてはいけないのですが、ポジティブフィードバックをするということは、ますます嘘をつかなくてはならないのですよね?」と質問を受けました。この質問への答えは、もちろん「NO」です。

部下に対して「嘘をつく」必要も、無理やり「褒める」必要もありません。部下をポジティブにするフィードバックは、必ずしも褒めることではないからです。むしろ、別物です。

部下をポジティブにするフィードバックで伝えたいのは、相手の結果、好意、もしくは存在を「見てるよ」「認めているよ」というメッセージです。事実を伝えるだけなので、褒めるのが苦手な人でもできます。「毎回、会議の後にすぐに議事録をまとめてくれているね」「いつも朝は笑顔で挨拶しているね」など、相手の行為や状態について述べるだけでOKです。

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