物議醸すNetflix「ダーマー」史上2位人気の危うさ 日本でも急上昇「ミルウォーキー食人鬼ドラマ」

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ドラマ「ダーマー」の配信直後に追加された3部構成のNetflixドキュメンタリー「殺人鬼との対談: ジェフリー・ダーマーの場合」のほうがむしろシンプルに訴えてくるものがあります。

「ジェフリー・ダーマーは正気かどうか」という問いから、なぜ彼が「ミルウォーキー食人鬼」になってしまったのかという答えを視聴者1人ひとりに考えさせます。これまで表に出ることがなかった弁護団と面会するダーマーの音声記録を公開しながら、時系列で追うわかりやすさも伴います。「殺人ピエロ」と呼ばれたジョン・ウェイン・ゲイシーに続く実録犯罪ドキュメンタリーシリーズとして見る価値があります。

3部構成のNetflixドキュメンタリー「殺人鬼との対談: ジェフリー・ダーマーの場合」でダーマーの音声記録が公開されている(写真:Netflix)

「ストレンジャー・シングス」に次いで歴代2位

Netflixの発表によると、ドキュメンタリー版ジェフリー・ダーマーは配信開始の初週で世界のトップ10リストにランクインし、早くも関心を集めています。さらに、ドラマ「ダーマー」の勢いも止まりません。

9月21日の配信開始からわずか3週目でドラマ「ダーマー」は視聴7億137万時間を達成し、その記録はNetflix英語シリーズ最大のヒット作「ストレンジャー・シングス 未知の世界 4」に次いで歴代2位に浮上するほどの人気ぶりです。

Netflixが独自に調べた世帯視聴の目安についても発表され、2週間未満で世界の5600万世帯が視聴したことがわかりました。日本でも配信開始からTOP10入りが続いています。世界で人気を博しても大抵の作品は日本では響かないか、遅れて話題になることが多いなか、珍しいことです。

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そもそも本国アメリカでもドラマ「ダーマー」の人気は予想以上だったはず。大規模な宣伝などいっさいなく配信開始されたのにもかかわらず、各国で揃いに揃ってのっけからTOP10入りを果たしたからです。

世界的にあまりにも知られた事件であり、連続殺人事件の中でも後にも先にも起こらないような内容だからという単純な理由だけではなく、結局のところ、謎が深く多いジェフリー・ダーマーという実在の犯人像にギリギリまで迫った危うさが視聴を伸ばしたのだと考えることができます。

今後も変わらず実在した事件がドラマの題材に取り扱われていくでしょうが、今回の成功例はあくまでも危うさが前提にあり、それを忘れた後追いは避けるべきだと思います。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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