日本マイクロソフト"超スムーズ人事"の裏側 外資ITらしからぬ、きれいなバトンタッチ

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樋口社長は、社長就任時には、先進国6カ国中6位だった日本マイクロソフトの業績および評価を、1位にまで引っ張り上げた。そして、その業績があったからこそ、日本においてビジネスをやりやすい環境が構築できたのは明らかだ。

昨年8月、全世界の社員を対象にした社員総会「MGX」での表彰式にて(提供:日本マイクロソフト)

東京および大阪の2カ所にデータセンターを配置したり、日本固有の製品であるOffice Premiumが投入できたのも、日本の高い評価が背景にあるからこそ実現したものだ。日本マイクロソフトへの社名変更、品川への本社オフィス移転も同様だろう。

もし、日本での業績が悪ければ、まずは業績回復プランが優先され、日本でのビジネスが展開しにくい状況になり、ここまで大胆な施策は展開できなかったはずだ。外資系企業における日本法人の生き方を知り尽くした樋口社長ならではやり方が、日本市場にメリットをもたらすことにつながったといえる。こうしたやり方は、平野氏にも引き継がれていくことを期待したい。

すでに、社内では、数字や来期計画に関するものについては、平野氏が主催する会議へと移行。樋口社長はそれ以外の会議を主催する形へとシフトしはじめており、新年度の予算策定や新組織の構想についても、平野氏を中心として、樋口社長がサポートする形で動きつつある。

東京オリンピックにも貢献したい

そうしたなかで、樋口氏は会長の仕事のひとつとして、「オリンピックへの貢献にも取り組みたい」とも言及したことは、気になるところだ。

現時点で、東京オリンピックの活動に向けては、まったくといっていいほど、日本マイクロソフトは関わっていない。実際、公式スポンサーを中心とした取り組みが始まっている段階であるため、まだ出番がないといえばそれまでだが、公式スポンサーでなくても、ロンドンオリンピックでは映像配信にMicrosoft Azure Media Servicesが活用され、ソチオリンピックでは、公式ウェブサイトのプラットフォームにMicrosoft Azureが活用されたという実績があるだけに、東京オリンピックでも、どんな形でマイクロソフトが関与するのは気になるところだ。

そこに、初めて社会人経験をしたパナソニック、そして、ダイエー社長を務めたという、日本の大企業での経験を持つ樋口氏の人脈が生かされそうだ。

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