セールスフォース、「日本が自立」の狙いとは? 中長期的な成長を睨んだ投資を加速
――小出さんは、日本IBMでは主に金融機関のシステムを担当してきました。その後、ソフトバンクテレコム、さらにヒューレット・パッカードを経験し、4月にセールスフォースに来られた。その理由、そしてセールスフォースでのミッションについて伺いたいと思います。だいぶ時間は経ちましたが、入社を決めた理由を教えてください。
そもそもの入るきっかけというのは、創業者であるマーク・ベニオフCEOからお誘いを受けたから。彼の話を聞きながら、これはぜひとも入りたい、と。彼が盛んに私に言っていたのは、セールスフォースはイノベーティブなカンパニーなのだ、ということ。世界で一番イノベーティブだという点に自信を持っている、一緒に新しいマーケットをつくっていこう、と私に言った。ITのマーケットは成熟しており、例えばハードウェアのビジネスはいっこうに伸びない。しかし、マークはパイが小さくなっていく市場で仕事をするわけではなく、新しい市場をつくっていくのだ、と繰り返し言っていた。マーケットシェアを奪い合うのではなく、新しいマーケットを開拓している、という言葉に動かされた。
セールスフォースは革新的企業である
――セールスフォースも設立からかなり時間が経過しています。実際に入ってみてイノベーティブだと思いましたか。
就任から100日以上経ったが、そのことを毎日感じている。よくITサービスの世界では、お客様の課題解決型ということで、ほとんどの企業はソリューションという言葉を使っていると思う。しかし、ここで考えるのはソリューションではなく、イノベーション。そこが大きく違うところだ。
私がいつも思うのは、本当の会社の面白さというのはスピードではなくてアジャイルだということ。つまり100メートルを9秒で走るのではなくて50メートル走って止まって、急に左に曲がったり、逆に後ろに戻ったり、そしてまた加速をしたりする。アジャイルな経営こそが求められていて、セールスフォースはそこが徹底している。
――新規顧客開拓が進み、会社として高い売上げ成長も続けています。
これまで常に年率30%レベルの高い成長を実現してきているので、結果を残すということにも非常にコミットしている。仕事のやり方として、アクションを求めているのではなく、エグゼキューション、つまり、やりきって結果を残すことを求めるカルチャーがある。
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