イノベーションの基礎となる「MVP」とは?

最初の小さな製品が、その後の進化を決める

ドロップボックスもMVPから事業をスタートさせている(写真は2013年9月のダボス会議におけるドリュー・ヒューストン共同創業者CEO) 写真:ロイター/アフロ

私がセールスフォース・ドットコムに入ってまだ初期の頃(2005年)、サンフランシスコで大停電が起こり、当社が利用していたデータセンターも被害を受けたことがある。発電機がすぐに動かなかったので、結果、1時間程、サービスが停止した。日本のお客様には大変なご迷惑をおかけした。

日本では、大手金融機関に採用されて間もない頃だった。年間費用で約1000万円、期間4カ月で構築し、信じられない短期間と低コストで実現できたことを褒められた直後のことであった。当然、状況報告、原因分析、再発防止策などをご説明し、深く謝罪した。その時、運用担当の部長から、「おたくの会社は、日本の金融機関が求める信頼性や品質を理解しているのか。その要求に耐えられるのか」 というご質問を受けた。そこで次のように答えた。

現時点で品質は不十分、と説明

「私個人 は、長年IBMに勤めて、大手都市銀行も営業部長としてご担当した経験もあります。日本の金融機関の厳しさは、十分理解しております。当社が、日本の金融機関の要求に耐えられるのか、と言われたら、現時点、まだまだ不十分だと思います」

「しかしながら、このクラウドという新しいサービスは、どんどん進化し、信頼性も急速に向上させています。当社はその最先端にいると思います。今後も、ますます強化していきます。それでも、ダメだと仰るなら、以前と同じように数年かけて十数億円かけて、開発されるのでしょうか。できましたら、一緒に品質改善、信頼性の向上を、ご指導していただけませんか。当社も創業者自ら対応すると申しております」

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