イノベーションの基礎となる「MVP」とは?

最初の小さな製品が、その後の進化を決める

その時、その上司にあたる方は、しばらく黙って聞いておられたが、「当社も新しいことに挑戦して、他社にないことをやろうとしているんだから、一緒に信頼性の向上をやりましょう」 と仰って頂いた。

その年の内に、当社のデータセンターは、ハイブリッドエンジンのような発電機と公共電力を併用するデータセンターに移転した。その費用は数十億円だった。

更に、今では、日本で最高クラスのデータセンターに、国内のお客様用に設備を用意し、海外でも災害対策用に同時にバックアップを行っている。年に3回のバージョンアップを続け、品質と機能を強化し続けている。

当時、日本での従業員は、30人を少し超えるほどだったか。その時から比べると、今では従業員も約20倍、売り上げも約50倍になった。こうしたお客様のおかげで、当社はForbes誌において、最もイノベーティブな企業に選ばれた。

大企業の中にいるイノベーター

新規事業や新商品の開発によるイノベーションは、一般的な起業家ばかりでなく、巨大企業でも、どこにでも必要なことだ。そのリーダーとは、幅広い権限を持つ経営陣の一人であり、新規事業、事業改革、製品開発などを担当している。彼らは、社内政治にも長けており、どうすれば独立採算の自立組織ができるかも知っており、その組織を他部門からの干渉から守ることもできる。彼らはビジョナリーでもある。創業者といわれる人と同様に、業界の未来を見ることができるし、革新的な手段を導入するにあたり、リスクを取る気概も持っている。

一般的に、持続的なイノベーションは、自動車のモデルチェンジや製品の新機能追加のようなことを指すが、そうしたものは、あまり大きな失敗はないと思われる。ただ、事業を飛躍的に伸ばすとか、シェアを大幅に拡大する、ということはできない。

一方、「破壊的イノベーション」と言われる、今まで誰も見たこともないような画期的な製品や新規事業などの試みは、ほとんどが却下されるか、実践されたとしても、ほとんど成功しないのが実情である。仮に、初期段階で順調なすべりだしをしても、事業として大きく成長しないまま、失敗に終わるケースが多い。 なぜならば、「イノベーションの素材を、現実の社会での大きな成功に転換させる方法」を分かっている人が少ないからだと思う。

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