フードオンザテーブルという会社も、夕食のレシピと食材を配達するサービスだが、初期のサービス開発は、創業者が、毎日一人の主婦と会い、どこのスーパーで何を買うかを聞き、そのスーパーの食品の価格や品質、セールの情報まで調べて対応した。これを、全米に広げるサービスになるまでに数年を要したが、初期の段階ではほとんどITを使わず、顧客にとっての価値、機能などの徹底検証を繰り返したことがベースになった。当時もらっていたおカネは、週に9.99ドルだった。
IMVUという会社は、3Dのアバターとチャットやメッセンジャーの機能を提供している。初期のアバターは、他のサービスのようにスムーズに動かないため動かないように固定した。そうしたところ、初期ユーザーから強い批判が起きた。そこで、単純な方法で、ユーザーが置きたい場所に、アバターを置けるように機能を改善したところ、まるでワープできるような体感を与え、高く評価されるようになった。
アジャイル(俊敏性)が武器になる
前段で、現在は不確実な時代で、新規事業の企画において、予測も計画も非常に難しい時代だと書いたが、これは何もマイナスなわけではない。今は、変化のスピードが速いというより、変化が目まぐるしいということ。 そこでは、大企業の資本力や体力よりも、ベンチャー企業の身軽さ、アジャイル(俊敏)な動きが有利に働く可能性があるということだ。航空母艦ではなく、魚雷艇のようなものだ。
予測の精度を向上させるのではなく、MVPとアーリーアダプターによって、仮説と検証を繰り返し、顧客が満足するサービスを、俊敏に生みだしていく。一旦、顧客になった人を引き留めるには、とにかく俊敏さが必要である。これこそが、新しいビジネスを成功させる重要なプロセスなのである。
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