東大生は、今でも絶望的なほど保守的だ

冨山和彦氏に聞く「起業家を増やす処方箋」

冨山和彦(とやま・かずひこ)●経営共創基盤CEO。東大法学部卒、ボストンコンサルティンググループ入社後、コーポレイトディレクション設立に参画(後に社長)。産業再生機構ではCOOとして活躍した。オムロン社外取締役、ぴあ社外取締役、中日本高速道路社外監査役、みちのりホールディングス取締役のほか、経済同友会副代表幹事なども務める

――「産業の新陳代謝とベンチャーの加速」が、安倍政権の政策の目玉の1つにかかげられました。成果指標は「新規企業の開業率を現在の5%から10%台に倍増する」というもの。これは実現できるでしょうか。

よく開業率の議論だけをしますが、開業率が高くなるということは、廃業率の上昇とセットの話。どの国でも、どちらかだけが高いわけではない。開業率が低くて廃業率ばかり高かったら、それは滅びていくということ。普通に成長している国では、開業率も廃業率も日本より高い。要するに、日本は老化しているってことなんです。「新陳代謝」がない。だから成長戦略ということでは、開業率と廃業率の両方を高くするしかありません。廃業率が高いということは、じつは廃業しやすくする、すなわち起業で失敗したときのリスクを小さい社会システムにするということです。そうでなければ起業する人は増えません。

「新陳」の施策はほとんど実施済み

――人間の身体に例えるならば、基礎代謝を高めるということですね?

そう。基礎代謝を高める必要がある。そういうふうに考えると、「新陳政策」と、「代謝政策」は、同時並行的に考える必要がある。ある意味で「新陳」のための政策に関しては、超高度な人材と大きな資金のいる本格技術系の領域を除けば、実はほとんどやっている。諸外国と比較しても、かなり多くのことをやっています。

まだ規制改革の問題が多少はあるけれども、それでもかなりのことをやっている。一般的な意見では、政府がもっとやるべき、ということなのかもしれないけれども、「支援策」についてはもうかなりやっていると思う。少なくとも大都会では十分すぎるくらいです。

ただ大きな問題が残されている。それは担い手が少ないということ。「ダサいサラリーマンなんかになるよりは、自分で会社を起こして、自分のその力で自分の人生切り開いていこう」と思う人間の数を増やすっていうのが、実は、最後にして最大の課題なんですね。

――なるほど。つまり教育ですか。

そうそう、結局、教育になっちゃう。最後は、社会で共有されている価値観の問題になるので、つまり教育なんですよ。

――経済産業省の「ベンチャー有識者会議」でも、教育の問題が議論されました。

でも一朝一夕に変わる話ではない。これはもう腹を据えて延々とやっていくしかないんです。ところが、それは本当に絶望的かもしれない。僕が驚いたのは今年の東大卒業生の就職先です。東大新聞見ましたか? いったいどこに就職したか。それをみると、もうハッキリ言って、言葉は悪いですがクソだなあと思った。

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