東大生は、今でも絶望的なほど保守的だ 冨山和彦氏に聞く「起業家を増やす処方箋」

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――店舗の開設資金などは必要ですよね?

極論を言ったら、それは借金でもできる。たとえば和民はそれでやってきている。ストリートファイター系の起業は本気になればできるんです。だからそこはちょっと世の中と噛み合ってない。むしろ政策的にできることはさっき言った、すごく足の長い教育の問題なのです。

それからもう1つあります。分野的に言うと(研究開発に莫大な費用が掛かる)ヘビーサイエンス、本格テッキーな分野については国のサポートが必要なんですよ。結構カネもかかるし、相当ハイスペックな研究者も関わらなければ進まない。ここには国のサポートはあったほうがいい。

たとえば軍事技術からスピルオーバーしてきたようものが、日本は弱い。インターネットやGPSなんかは元々そういう技術です。ここについて、日本なりに生態系をもう1回ちゃんと作る必要がある。これはどうしても、民間だけでは無理。どの国でも産官学連携型になっています。だから日本型の連携のエコシステムを作っていく必要がある。かつ、それってもう日本だけで閉じたエコシステムでは無理なんですよ。

ヘビーテッキー分野は最初からグローバル

――多くの人が出入りできる世界にして。

ヘビーテッキーな世界ってもう、最初からグローバルになっている。だから例えば、研究論文の段階で日米欧の共同論文になっていることが多い。産官学と国境とをまたいだオープンイノベーション型のエコシステムを日本にどう作れますかっていうのが政策的手段の課題なわけです。

――どちらかというとビジネスではなく、研究分野の課題ですね。

そうです。そっちが日本の課題なんです。教育の問題、そしてヘビーテッキーな分野の問題。これが残された問題といえます。

もうひとつ、あえて課題をいうと地方における起業の問題です。地方は起業支援のインフラが弱いという問題があるので。地方でベンチャー企業を経営している人向けのインフラを拡充するっていう議論はある。この3つぐらいが残された課題です。

後編は7月16日に掲載します。

 

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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