東大生は、今でも絶望的なほど保守的だ

冨山和彦氏に聞く「起業家を増やす処方箋」

――DeNA(ディー・エヌ・エー)やグリーなどが人気と聞いていますけど。

そういうところも、ちょっとは増えてきているけど、大宗においては全然そうではない。だから、いい兆候と、未だにクソっていう兆候が混在しているのが現状でしょう。

――どのあたりがクソなのでしょうか。

文系の就職先トップ3社がメガバンク3社なんですよ。

――なるほど。理系はどこが人気なのでしょうか。

理系は1位が日立。

――日立復権ということですね。

要するに、その程度なんですよ、日本のエリート学生のベンチャースピリットは。だからやっぱり教育ですね。教育が根本的に変わっていない。ひょっとすると東京大学の入学試験のところから問題があるのかもしれない。

――生徒が新興の企業に行きたいと思っても、ゼミの先生が「日立に行け」と言うのでは? 昔からの繋がりもあるため、そこは簡単には変わらないようにも思います。

いやいや。必ずしもそうでもないですよ。だって今時、ゼミの先生にそこまでの指導力はない。

東大生は意外なほど保守的

――日立には博士がたくさんいて埋もれてしまうから面白くないと思いますが・・・。うーん、それでも行きたいと思うのでしょうか。

いや思うんですよ。意外なほど保守的なんです。あるいは、まあとりあえずは大企業、ってなっちゃうわけです。

――大前研一さん(マサチューセッツ工科大学大学院で博士号を取得し日立製作所に入社)のような存在を目指すっていうことで日立を選ぶ卒業生もいるかもしれません。

それを狙って日立に行くんだったら別にOKですよ。日立だってこれからはそういう「稼ぐ」意志のある人材が欲しいんじゃないでしょうか。そこはやっぱり仕事観、職業観など根本的な価値観に関わる問題なんです。世の中をよく言うような2:8で分けると、80%の人は一つ会社のサラリーマンで幸せな人生を一生送れるなんてことはない。もうみんな放棄しちゃっているわけですよ。

現実問題として80%の人には、そういうオポチュニティーがない。だから多くの新卒の学生は5年以内に辞めちゃうわけですよ。最初に就職したところをね。年功終身制というものは、もう20%も切っちゃっている。組合組織率も10%台になっている。8割の世界では、すでに転職が当たり前になっているんですね。終身雇用の安定を目指して大企業に行くのであれば、それは非常にナンセンスだと思います。

ただ起業が盛んな領域もある。ちょっと言い方が悪いけれども、マイルドヤンキー的な空間があり、その空間の人は、以前からみんな結構起業している。その手の起業は、日本は非常に盛んです。日銭を稼げる飲食店や小売店などのストリートファイター系が多いわけです。同じような地域密着サービス系で言えば、保育、介護などはこれから大事なので、それを受けてどんどん起業してもらったほうがいい。くどいようだけど、そのために政府にやってほしいものはあえて言えば、規制緩和くらい。リスクマネーがないないって言うけれども、それほどカネがいる産業ではないので、問題にならない。

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