イノベーションの基礎となる「MVP」とは?

最初の小さな製品が、その後の進化を決める

それはどういうことか。従来は、色々な新企画を検討し、数年かけて調査分析し、ある程度の前提と意見を反映させることで、うまく行った。そんな時代が長く続いた。しかし、近年は、グローバル化、ネットワーク化などにより、情報伝達のスピードが高速化した。国際関係、環境問題などの外部要因による株価、為替の変動も激しい。最近では天候さえも大きく変動しており、多くのことがとてつもなく不確実だ。

そうした環境であっても、新しい事業モデルや新しい製品やサービスを創り出し、成功させなければならない。

Minimum Viable Product とは?

そこで、『リーンスタートアップ』(エリック・リース著)という概念が誕生した。 リーン生産方式というトヨタ生産方式が原点となった生産方式を、新規事業の経営プロセスに反映させる考え方である。新規事業は仮説から始まる。仮説をもとに戦略を立て、なるべく早期に仮説の検証を行なうことが、事業立ち上げ時の目標になる。

その際にもっとも重要な点は、MVP (最小限の実行できる製品)だ。早い段階からマーケティングを行い、初期ユーザー(アーリーアダプター)を取り込み、その意見を反映させる。市場分析や製品開発に時間を掛けるのではなく、率直に顧客の意見を聞く。好評、批判、問題点を指摘されながら、機能を加減していく。時としては、事業計画そのものを大きく方向転換することも受け容れる。これがリーンスタートアップの考え方である。

おカネを払って使ってくれて、色々な意見を出してくれるアーリーアダプターと呼ばれる層、すなわち、新しい商品やサービスが未熟なものであっても採用してくれる顧客をつかむことが重要なのである。

顧客は、自分達が何を望んでいるかをしっかりとは分かっていないことが多いし、何もない状態から、意見を言える人は非常に稀である。そのため、まずはMVPを作成する。製品開発と並行して、顧客の意見を聞き取る。技術者は、時として、誰も欲しがらない製品やサービスを作りがちである。作り込み過ぎたり、約束し過ぎたりという衝動をいかに抑えるかが大切である。

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