セールスフォース、「日本が自立」の狙いとは? 中長期的な成長を睨んだ投資を加速

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丸の内JPビルにある本社受付にて

――顧客の反応はどうですか。

この4カ月ぐらいで数十社、数百名のCxOレベルの方とお会いした。やはり、本社直轄のような体制になっている会社に対しては、「むこうのブランチオフィスみたいになってしまい不安」「ブランチオフィスというか営業所みたいになってしまった」という声があるのは事実。それに対し、セールスフォースは完全に日本で意思決定をできる。「日本に根付いて日本の企業として、やっていくという意思表示で、すごく安心するよ」という言葉はたくさんあった。

私のCEOとしての役割は、いわば1000億円、2000名の企業にするためのインフラ整備。山のようにやらないといけないことがある。ただ、四半期決算しているわけで短期的なことは大事。そこは同時に着任した社長の河原均に権限を委譲した。「そこは任せたぞ」「きちんと短期の数字は残せ」と。

「この90日間で日本に何回行ったか?」

――本社側はしっかりとサポートしてくれていますか。

マークは、このモデルを成功させなきゃいけないと思っている。この間も、マークが全員のエグゼクティブに言ったのが、「この90日間で日本に何回行ったか?行った者は手を挙げるように」というようなこと。今年末までをみると、もう何十人というエグゼクティブが日本に来る。その結果、本社のエグゼクティブが直接、日本のお客様と話す機会が格段に増えます。

なぜ顧客のところにさかんに訪問するかというと、経営理念の一番ベースにあるのがカスタマー・サクセスだから。これは徹底しています。ここまでは普通なのですが、この会社で驚くのは、人事部がないこと。お客様に成功していただくためには社員が成功していなければダメだと言うことで、エンプロイー・サクセスという部門をつくってはいるものの、人事部がない。

普通はヒューマン・リソースとか言うじゃないですか。しかし、セールスフォースには人間をリソースと位置づけるのは、おかしいだろうという考えがある。それぞれの社員の成功をサポートしていくのが、人事部門の役割だ。

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