日本マイクロソフト"超スムーズ人事"の裏側

外資ITらしからぬ、きれいなバトンタッチ

クルトワ氏と樋口社長が平野氏に後継社長への就任を告げたのは、今年2月上旬。場所は、米シアトルだ。

インターナショナルの責任者を務めるジャン・フィリップ・クルトワ氏(撮影:尾形文繁)

毎年この時期には米本社でミッドイヤーレビューと呼ばれる中間報告会が行われる。7月から新年度が始まるマイクロソフトにとっては、このタイミングがちょうど中間期にあたるからだ。

日本マイクロソフトの幹部によるケビン・ターナーCOOへの報告は1月中旬から行われ、それは日本法人以外にも、各国ごとに行われる。それが終わると、2月上旬にかけて、各国のリーダーが全員出席し、ターナーCOOを中心にして、サティア・ナデラCEOに業務報告が行われる。これを社内ではワールドワイドミッドイヤーレビューと呼ぶ。マイクロソフトの営業およびマーケティング現場にとっては、大きな節目のひとつだ。

ワールドワイドミッドイヤーレビューに出席するのは日本マイクロソフトでは、樋口社長だけだが、このタイミングで社長要請を行おうとしていた樋口社長は、平野氏をあえて米国に誘った。

「ちょっと勉強のために来ないか」

「本来、平野は、この会議には参加しなくてもいいのだが、社長交代を伝えるために来てもらった。ただ、来てもらう理由を正式に言えないため、『ちょっと勉強のために来ないか』と誘った」と語る。

そして、通達する場の設定も回りくどい言い方を余儀なくされた。

「現地では、クルトワが同席して、下期の施策について話をするという理由で、平野をディナーに誘った。その話を散々したあとに、最後にクルトワから新社長就任の通達を行った」

それに対して、平野氏は、「一瞬、なにを言っているのかわからなかった」と笑いながら、その場の様子を表現する。

「クルトワ、樋口の2人とのミーティング。当然、ビジネスの話ということしか考えていなかった。だが、最後に不意をつかれた形で打診された。すぐに事の大きさを感じ、身の引き締まる思いだった。深呼吸をして、その場で即答して、社長を引き受けた」と平野氏は振り返る。

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