アマゾンは、なぜ出版社を「格付け」するのか チャン社長「ぜひともビジョンを共有したい」

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日本法人のジャスパー・チャン社長(撮影:尾形文繁)
世界最大のネット通販サイトであるアマゾンは、日本でも矢継ぎ早に新しい取り組みを進めている。2014年は、出品者への融資、受け取り拠点やカスタマーサービスセンターの強化、アマゾン限定商品の拡充などを推進した。
一方、「出版業界」という狭い分野に限ると、軋轢が高まった年でもある。2014年春、同社は電子書籍のキンドルについて、一方的に「優遇マーケティングプログラム」を設定。契約を結ばない出版社を「ベーシック」、契約を結んだ出版社を品揃え、マージンなどにより「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」に格付け。格付けが高い出版社に対して集中的にマーケティング支援を行う形に切り替えた。
通常の書籍についても、アマゾンでの売り上げをチェックできるように無料で提供していた「ベンダーセントラル」を有料に切り替えた。こうしたアマゾンのやり方に多くの出版社の経営者が、危機感を覚えている。
アマゾンはどのような戦略を持っているのか。ジャスパー・チャン社長に、とりわけ出版社との関係についての考え方を聞いた。

 

山田:アマゾンは2014年も、新しい取り組みをたくさんやりました。中でも出品者がアマゾンのインフラを使うマーケットプレイスの強化が重要だったと思います。

チャン:当社は地球上でもっとも多くの品ぞろえ、地球上でもっとも顧客中心の会社であることを目指しています。品ぞろえ強化ということではマーケットプレイスは重要です。探している商品に出会える可能性が、より高まります。出品者に融資を行う「アマゾンレンディング」のねらいも、品ぞろえの強化にあります。融資をすることで、出品者は在庫レベルを高めることができるので、在庫切れを防ぐことができるわけです。

私たちは出品者のみなさんに成功してほしいと思っています。成功することで低価格、品ぞろえ、利便性の向上につながるからです。アマゾンが出品者のイーコマース管理を代わりにやることで、出品者はマーチャンダイジングに特化できるようになります。

ヤフー「0円」の影響は?

山田:ヤフーが出店料を無料としたことの影響はありましたか。

チャン:イーコマースは急成長をしており、多くのビジネスチャンスがあります。そして各社が異なったアプローチでこの市場を見ています。アマゾンとしてのアプローチは、重点的に投資をしている分野がロジスティックス、マーチャンダイジングのプラットフォームです。

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