アマゾンは、なぜ出版社を「格付け」するのか チャン社長「ぜひともビジョンを共有したい」
山田:一方で2014年は、出版社との軋轢が表面化した年でした。最終顧客である読者のメリットを考えると、出版社などのパートナーに多少のデメリットが出てもやむを得ない、という考えでしょうか。
チャン:そうではありません。もっとも重要な点は、私たちの考えは読者と著者を重視しているということです。アマゾンを含めて、それ以外の者はすべてミドルマン(中間業者)にすぎません。もちろん出版社もミドルマンです。
著者と読者をより効率的につなぎ、読者が求めているものをきちんと届けていくためにはどうしたらいいか、ということを考える点で、アマゾンと出版社はビジョンを共有できるはずです。
アマゾンができることは、豊富な品揃えを用意して、読者が望んでいるフォーマットで、簡単に便利に購入できる仕組みを整えることです。そうすることによって読書人口が増えれば出版社も大きなメリットを得ます。著者にとっても読者が増えることが大きなメリットです。これにより皆が幸せになれるのです。
ビジョンを共有できる出版社にリソースを投下したい
山田:出版社はアマゾンが電子書籍の販売の際に出版社を格付けし、一方的に条件を変えていくことに反発しています。
チャン:私たちのリソース(社員、資金)は限られています。なるべくビジョンを共有できるところに集中的に投下したい。そのビジョンとは、先ほども言ったように、読者が読みたい本を、欲しているフォーマットで提供していく、というものです。しかし出版社の中には優先順位が異なっているところもあります。同じビジョンを共有しているところと密接に組んでやっていくためにも、取引条件が複数あるのは当然だと思っています。
キンドルは、おかげさまで立ち上げから2年間で品ぞろえを5倍にまで拡大する事ができました。これは出版社からの理解と支援の賜物であり、出版社との信頼関係なしには成し得ないことです。つまり、ほとんどの出版社とビジョンを共有できていると思います。
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