“生きづらさ”をテーマに単著を出版
フリーライターの鶴見済さん(58)の代表作は、1993年に発売された『完全自殺マニュアル』(太田出版)だ。本作品はベストセラーになり賛否両論を巻き起こした。
だが30年近く経った現在でも売れ続けている。
ただの悪趣味、露悪的に自殺の方法を書き連ねた本ではない。
「いざという最悪の時には死ぬことだってできるのだと思えば、楽に生きていける」
というメッセージが込められている。
筆者は20歳の大学生の頃にこの本を本屋で見つけすぐに購入した。家に帰って徹夜で読みふけり、読み終わった頃にはなぜか生きることに対して前向きな気持ちになっていたのを覚えている。
鶴見さんはその後も“生きづらさ”をテーマに『無気力製造工場』(太田出版)『人格改造マニュアル』(太田出版)と言った単著を出版されてきた。
そして今年、上梓された本が『人間関係を半分降りる』(筑摩書房)だ。
「人生のいちばんの悩みは対人関係の悩み」
として、その悩みから逃れる、半分降りる方法が書かれた一冊だ。
家族、友達、恋人、仕事関係の仲間。SNS上でのつながり。そして孤独。
人間関係で、一切悩んでいないという人のほうが少ないだろう。
「嫌な相手とは心の距離を置く」
「恋愛をしなくてもいい」
「いいかげんになる」
常識にとらわれず、自分の心をいたわり、気持ちよく生きられる方法が書いてあった。「人間関係のライフハック本」と言える。
なぜ鶴見さんは『完全自殺マニュアル』、『人間関係を半分降りる』のような本を書いたのか? 生い立ちからお聞きした。
鶴見さんは4人家族で育った。
「父は怒ると叩く、厳しい親でした。ただ昭和時代の家庭では珍しくありませんでした。より問題だったのは、2つ上の兄が非常に攻撃的で、小さい頃から10年以上もそれが続いたことです」
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