「完全自殺マニュアル」書いた男が掴み取った天職 ライター鶴見済が58年の人生でたどり着いた境地

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そうして活動しているうちに、

「人間関係がみんなのいちばんの悩みだな」

と改めて思うようになった。

「それで過去の体験を踏まえた人間関係の本を書きたいと思うようになって『人間関係を半分降りる』を書きました」

『人間関係を半分降りる』には「普通はあまり言わない」ことが書かれている。

「人間は素晴らしくない」

「家族は寄りそわなくていい」

「家族の素晴らしいイメージにだまされない」

「どう思われるかばかり気にして生きなくていい」

「『もうどうしようもない』とあきらめる」

読んでいるだけで、ふっと肩の力が抜けるような気がした。

『人間関係を半分降りる』

「ヒューマニズムというか熱血というか、人間関係をキラキラしてるイメージで捉える人いますよね? 人と人が密接につながるのはいいもんだ!! という考えで。『家族って素晴らしい!!』って言うけど、殺し合う家族なんてたくさんあります。うちも危なかった。

家族が美化されすぎているのが原因だと思います。同じように友達、学校、会社、恋人、結婚なども美化されていますよね。

嫌いな人と毎日同じ箱の中にいたら、それはイジメも起きます。学校や会社は人と距離をとる自由がないんです」

だが鶴見さんは、世の中が悪くなっているとは思っていない。

自身を見つめ、多くの人の“生きづらさ”を癒やす

むしろ逆だ。

「昭和の時代から比べたら、全然良くなっていますよ。それは明らかですね。

子供の頃『巨人の星』ってアニメをやっていました。父親が子供にスパルタ教育をし続けるアニメです。今だったらありえないですよね? でも当時は普通だと思って家族で見ていました。父親に影響もあったと思います。『親たるもの、子供に厳しくあらねば』

って思ったでしょうね。

今は、親子関係が友達みたいになっている家が多いと聞きます。これはとても良いことだと思います。

あと、心の病気に関しても劇的に変わりましたね。30年前は精神科に通うというのは、とても抵抗があることでした。今は、うつや発達障害についても認知されて気軽に病院に行けるようになりましたし、メジャーな話題になりました。これはすごい変化ですね」

自身の“生きづらさ”を見つめ続け、結果的に多くの人達の“生きづらさ”を癒やしていく鶴見さんのパワーはすごいと思う。

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村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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