戦争捕虜になった夫を捜す25歳アンナが語ること 「ウクライナ戦争の記録映画」が映し出す現実

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アゾフスターリ製鉄所から脱出してきたアンナと長男のスビャトスラフ、兄のコラ。5月3日 ザポリージャ(写真:筆者撮影)
ロシア軍によるウクライナへの侵攻から半年が過ぎた。
激戦地は北部から東部、そして南部へと目まぐるしく移り、終戦の兆しは見えない。
ロシア軍の捕虜となったウクライナ兵は数千人。彼らは家族と連絡を取ることも許されず、虐待や拷問を受ける者もいる。
そんな中、ある負傷兵の妻が夫を奪還すべく世界に向けて声をあげた。
(この連載の1回目記事2回目記事3回目記事4回目記事/5回目記事

反対を押し切り、アゾフ連隊に入隊した夫は…

世界3大映画祭のひとつ、ベネチア国際映画祭。第79回の今年、あるウクライナ人がゲストとして招待された。アンナ・ザイツェバ、25歳。ウクライナ南東部の港街、マリウポリのフランス語教師だ。

アンナと家族は開戦翌日の2月25日、街の中心にあるアゾフスターリ製鉄所に避難した。製鉄所の金属工だった夫、キリル(22)の提案だった。

尾崎孝史氏によるウクライナのレポート、6回目です

アンナは生後4カ月の長男、スビャトスラフを抱えながら、製鉄所の地下シェルターに身をひそめた。そして、ロシア軍による連日連夜の砲撃に耐え、4月末に脱出する。

夫のキリルは避難直後、マリウポリで活動するウクライナ内務省軍の部隊、アゾフ連隊に入隊する。志望の動機についてキリルはアンナにこう語った。

「仲間が国のために死んでいるのに、避難所でただ座っていることはできない」

アンナは当初、「それなら離婚する」と言って強く反対したものの、最終的に夫の判断を尊重した。

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