「保育士の数を2倍」にした園で起きた劇的変化 「加古川」では市を挙げて働き方改革に取り組む
さらに実証研究では、午睡時の子どもの体勢をチェックする「午睡チェックセンサー」のテスト導入も行った。午睡チェックとは、うつ伏せ寝による事故を防ぐためのもので、5分おきなど定められたタイミングで子どもの体勢を目視し、向いている方向を矢印で記録する。
「いつ事務作業をしているのか保育士に訊ねると、『午睡時に昼食を食べながら、午睡チェックと事務作業をしている』と話していた。ICTを使って1つひとつの業務を見直すだけでなく、午睡時のマルチタスクをどうにかしなければと感じた」(多田課長)
そんなとき、うつ伏せ寝の事故を防ぎながら、保育士業務を軽減できる午睡チェックセンサーの存在を知り、早速テスト導入することにした。午睡チェックセンサーなら、自動で体勢を記録するうえ、うつ伏せ寝が続くとアラートで知らせてくれる。
「午睡チェックセンサーは、実証研究で有効だとわかったので、市の補助金制度を作り民間園にも普及しました」(こども部幼児保育課伊藤淳平管理係長)。すでに午睡チェックセンサーの導入が済んでいた園もあったが、67の民間園のうち43園が、補助金を活用して午睡チェックセンサーを導入した。
保護者からも評判「登降園管理システム」
さらに、実証研究を経て「登降園管理システム」もすべての公立保育園・公立こども園に導入した。アプリでいつでもどこでも欠席や遅刻の連絡を入れられるようになり、多忙な保護者からも評判だ。
「園としても、『朝の電話の混雑がなくなったぶん、ほかの業務に保育士を配置できるようになり、時間が有効に使えるようになった』との声もいただいています」(こども部幼児保育課飯塚梨帆主査)
加古川市では、保育士の定着や復職促進のための補助金制度も整えている。
「国の制度などを活用して、市内の私立認可保育園で働く方に一時金をお支払いする制度を整えている。待機児童や保育士不足を解決するには、いかに加古川市で働いてもらうか、定着してもらうかという観点で制度を作りました」(飯塚主査)
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