「保育士の数を2倍」にした園で起きた劇的変化 「加古川」では市を挙げて働き方改革に取り組む

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七夕飾りをする先生と子ども
給食の準備で慌ただしいなか、話しかけてきた園児に優しく丁寧に接する職員。楽しそうに話しながら、七夕飾りを一緒に付けていた(筆者撮影)

駄々をこねている子どもも、話を聞けば満足して、スムーズに動いてくれることはよくある。こういったささいなことが、「子どもの気持ちを受け止められた」と、保育士の自己肯定感につながるという。

「職員増だけでなく、持続可能な働き方の土壌作りが重要」

職員を増やすことでさまざまな課題が解決したが、野上氏は「人員を増やすだけでは、何も変わりません」と話す。

保育園運営を始めた当初は、行事の制作物について「じっくり時間をかけて、クオリティーの高いものを作りたい」という若手職員の声もあった。しかし、「将来、結婚や出産でライフステージが変わっても、今と同様に時間をかけて仕事ができるのか考えてもらった」(野上氏)という。

「時間をかけて作業することをよしとすれば、子育てや家事、介護で早く帰らなければならない職員が肩身の狭い思いをするかもしれない。長い目で見て、持続可能な働き方をしてもらうには、決められた勤務時間内に仕事を終えるカルチャーを作らなければならないと考えた」(野上氏)

今は、ミーティングのアジェンダの事前共有をはじめ、行事も計画的に前倒しで準備を始めるなど、全員で協力しながら貴重な時間をやりくりしている。

打ち合わせ中の女性
職員間で十分にコミュニケーションを取ることで、保育の質だけでなく職員の連帯感も高まっている(写真:社会福祉法人風の森)

今後の課題については、「保育士の働き方を見直す動きが広がり、潜在保育士が保育業界に戻ってきたいと思ってもらえることが、当園の働き方改革の最終目標です」(野上氏)と話した。

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