「保育士の数を2倍」にした園で起きた劇的変化 「加古川」では市を挙げて働き方改革に取り組む

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統括の野上美希氏は、「基準どおりの職員数だと、交代で休憩を取ることすら難しかった。研修時間や有給休暇も取れず、職員が疲弊するのが目に見えてわかりました。行事前は、衣装などの制作のために、残業や持ち帰り仕事が当たり前になっていました」と振り返った。

野上美希氏
社会福祉法人風の森 統括の野上氏(筆者撮影)

保育園の運営開始から1年ほど経ち、職員を国基準の1.5倍に増員。すると、交代で1時間の休憩が取れるようになり、残業や持ち帰り仕事をする必要もなくなった。しかし、「勤務時間内の研修やミーティングの実施、希望どおりの有給取得は難しかった」(野上氏)という。

そこで2年前、都の補助金を活用して職員を国基準の2倍に増やしたところ、希望どおりの有給取得や、勤務時間内に交代で研修を行うことが可能になった。また、担任間のミーティングも、パート職員に午睡チェックを任せている時間に行えるようになった。

「職員の満足度が保育士確保につながる」

しかし、今の保育業界は、1人の保育士を2、3園で取り合う状況だ。そんななか、たくさんの職員を採用するのは難しいのではないだろうか。

「たくさんの応募をいただきますが、働いている保育士からの紹介が圧倒的に多いです。職員の満足度が高いと、人材の紹介につながると実感している」(野上氏)

職員の満足度につながっているのは、有給の取りやすさや、残業時間ゼロという点だけではない。充実した研修制度によるキャリアアップや、毎日の保育の充実も職員の満足度につながっている。

研修については、保育士それぞれが抱える課題や学びたいことを、年度ごとに園長と面談。1人ひとりに研修プランを組んでいる。外部講師による研修はもちろん、園内でもグループワークやディスカッションなどを行い、保育の質を高めている。

また、職員からは「ゆとりがあるから、子どもの気持ちを受け止められる」という声が多く聞かれる。例えば、散歩の時間に外に行きたくない子どもがいても、職員数にゆとりがなければ、無理にでも散歩に連れていかなければならない。しかし、職員数にゆとりがあれば、誰かが「なぜ散歩に行きたくないの?」と、子どもの気持ちを聞いてあげられる。

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