アイロンがけはこれまでに紹介した「少しだけ手をつける」「道具を出しておく」などの方法でも取り組みやすくなりますが、ここではアイロンがけ「ならでは」のメリットを紹介します。
脳には、動きの速度に重点が置かれた情報が届けられます。アイロンがけのように、筋肉の収縮を一定に保つ等尺性収縮をしているとき、脳に送られるのは、「現在の体の状態」。体の状態がわかれば、脳は無駄な力が入っている箇所を緩める命令を出せるので、交感神経活動が鎮まり、リラックスすることができます。
運動でニューロンを抑制!
関節運動は、オープンとクローズに分けられます。掃除機をかけるように、力を入れた先(作用点)が動くのがオープンな運動で、アイロンがけのように作用点があまり動かないのがクローズな運動です。クローズな運動は、等尺性収縮が使われるので、力を入れた後、その筋肉に向かう運動ニューロンは抑制されやすくなります。
軽い力でスイスイ動く家事動作では、神経を抑制させにくいので、現代の家事ではアイロンがけは全身の緊張を緩める貴重な作業です。
また、目と手の協調が出来具合を左右するという点でも、アイロンがけは利用しやすいです。ワーキングメモリを担う上頭頂小葉という領域は、目的とする作業を遂行するのに最適な動作ができているかをチェックしています。
アイロンがけは、作業フォームが安定すると服のしわが伸びるので、最適な動作を意識しやすく、作業中に上頭頂小葉の働きで無駄な情報がマスキングされます。多すぎる情報から脳を遮断して守ることにも利用できるのです。
●キーワード ワーキングメモリ
自分でやったほうが早いのに、子どもがお手伝いをしたがる……という状況を使って、自分の脳がワクワクする課題設定のコツをつかみましょう。
脳が学習して成長できる設定は、古くから発達の最近接領域と呼ばれます。50%はやればできそうだけど、残り50%はやってみなければわからない、この「ちょっと頑張ればできそう」な設定の課題に、脳はワクワクしてやる気になります。
設定のポイントは、当たり前にできるレベルの中で最難度です。
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