自分の作業の評価軸に、量や出来栄えという「可能性」を含めると、エネルギーのアップダウンが激しくなります。短期的には、達成できることもありますが、その達成できた記憶が、「前はできたから今日もできるはず」というあいまいな予測を生み出します。
この設定で、ドーパミンが増えて「期待感」がつくられます。達成できなかった場合、期待された報酬が得られなかったという条件になり、ドーパミンは何もしていなかったときよりむしろ低下します。「やったのにきれいにならなかったから、余計めんどくさくなった」という現象は、ドーパミンの性質によるものです。
●キーワード ドーパミン
物が床に散乱、片づけるのがめんどう!
床に散乱した物を片づけるときは、「注意の3段構え」で迎え討ちましょう。
変化を検出するボトムアップ注意が働きすぎると、靴下を集めているつもりが、出しっぱなしのおもちゃや新聞、掃除していないほこりなど、別の落ちている物に目が行きます。
注意が行ったり来たりすると消耗するので、トップダウン注意で「靴下」に照準を合わせましょう。靴下を入れ終わったら、「おもちゃ」に照準を合わせる。このように、作業に無関係な物に注意を奪われないように制御してみましょう。
変化を検出するボトムアップ注意を主体に使っていると、靴下をとらえたときにぐっと心拍数が高まるので「イラッ」とすることがあります。そこで、トップダウン注意で洗濯物を効率よく集めるという目的を設定しましょう。
効率よく作業をすることが設定されると、自然に家族の行動を観察することができます。するとその動線から、靴下がありそうな場所が特定できます。これで変化を検出するたびに心拍数が高まるのを避けることができます。
家族の行動が観察できると、家族の動線を誘導することもできます。玄関からリビングに来たときに靴下を脱いだら、「このタイミングでここまで靴下を持ってきてくれると助かる!」など、相手の動線をつなげてしまえば、相手の脳に発生する「めんどくさい」を消してしまうことができます。
家族の行動で部屋が散らかる場合、片づけることは家族の動線をコントロールすることであると位置づけられます。心地よい動線がつくられていけば、住んでいるだけでめんどくさくない家をつくることができます。
●キーワード 3つの注意
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