「ちょっと頑張ればできそう」な設定で自分の脳に課題を与えるには、自分を客観的にとらえるメタ認知能力が必要になりますが、子どもへの課題設定を練習材料にすれば、課題設定の権限は自分が持っていますし、設定を変えたことの効果を観察しやすいです。
子どもが開けたての牛乳パックから牛乳をグラスに注ぎたがるとします。子どもにとっては、パックを持ち上げつつ、コップめがけてパックを傾けるという2つの要素を達成するのが難しい。
このとき、コップを台の上のおいて高くすると、パックを少し傾けるだけで注ぐことができます。このように、「1つ要素を減らせばできる設定」をつくればよいわけです。子育ての中では、このような課題設定の調整を自然に行っていると思います。
それを意図的に行い、要素を減らす術を自分がめんどくさいと思ったときに使いましょう。
発達の最近接領域は、心理学者レフ・ヴィゴツキーによって提唱されました。脳はつねに予測をしていて、予測によりすべてが見通せると落ち着いて作業できる一方、目新しさ、つまり意味不明なエラー信号がないと、注意が引きつけられません。「頑張ればできそう」な設定は、注意を引きつけてやる気を引き出すためにエラー信号を使った方法です。
●キーワード 発達の最近接領域
交換のためのストックは情報量が多い
交換のためのストックは、物の大きさや使用期限、取り出すタイミング、別の商品への更新など、管理しなければならない情報量が多いもの。
管理が必要な情報が多すぎると、ワーキングメモリの容量を使ってしまうので、あまり気にとめられない作業の割にエネルギーの消耗が激しくなります。
ストック管理はテーマごとに最適解を出すように考え、「うまくストックする方法が見つかれば、買い物に出る時間を減らせる。それで浮いた自分の時間を何に使おう」と、先の目的に意識を向けましょう。
登山のための持ち物準備や防災グッズをそろえる作業に例えてみましょう。登山やキャンプでは、限られたスペースの中で物を管理する最適な方法が導き出せると、それだけで大きな達成感が得られると思います。準備がうまくできた分だけ、快適に過ごせる時間を確保できるからです。
ご褒美によってやる気が出る仕組みである報酬系は、2つあります。気づかれにくい家事をしていることを「気づいてもらえること」が報酬として設定されている場合は、線条体が使われます。線条体は、その作業に失敗したときに働きが低下するので、気づいてもらえなかったときやストックが切れてしまったときに、一気に「めんどくさい」が発生します。
もう1つの報酬系の前頭前野外側部は、1つ先の目標が報酬に設定されると起動します。「買い物に行く時間が減らせたら何しよう」と意識することに当たります。この領域は、さまざまな領域とネットワークを形成していて、もし作業に失敗しても活動が低下しません。目的は自分の時間を得ることであり、自分の時間を得るほかの行動もすべて報酬になる設定だからです。
●キーワード 2つの報酬系
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