ディズニー大転換「入園者数引き下げ」戦略の背景 昨年就任の吉田社長が明かすパークの課題とは
大きなフックになるのは、やはりファンタジースプリングス。パークの景観がホテルの部屋から見られるので「泊まりたい」というフックになる。トイストーリーホテルも、あそこまで映画に特化したホテルは初めて。泊まること自体が楽しいと思ってもらえる。
――チケット価格は変動価格制を導入するなど、値上げを進めてきました。それでもアメリカ・フロリダのリゾートなどは倍以上の価格設定です。値上げ余地をどう考えていますか。
フロリダは1週間ほど滞在される方も多い。1年に1回、数年に1回の方も多い。われわれはどちらかというと足繁く、シーズンごとにパークの景観を楽しんでいただきたい。春はイースター(復活祭)、夏は水浴び、秋はハロウィン、冬はクリスマスなどのイベントがある。フロリダとはちょっと違いますね。「チケット価格をもっと上げればいいのに」とはよく言われるが、複数回来やすい価格設定にしているつもりだ。
年間パスポートの復活は「未定」
ただ、値上げの余地がないわけではない。ゲストの遊び方がどうなるかも見極めていく。一概にチケットの価格だけを、上げられるから上げようとはまったく考えていない。ホテルに泊まらない方も楽しめる必要があり、いろいろな選択肢を用意することが一番大事だ。
――年間パスポートの復活はありますか? 来園頻度が高い年パス保持者が増えると、満足度を重視し滞在型リゾートを目指す戦略と相反する部分もありそうです。
現時点で未定としか申し上げられない。
年パスを持つゲストは本当にディズニー、東京ディズニーリゾートを愛してくださる方ですので。難しいところだが、まだ何も決まっていない。
――サービス業が人手不足に悩む中、パーク運営を支える熱心な人材をどう確保しますか?
4月にアルバイト社員の時給を一律100円引き上げた。正社員として安定的に働きたい方には「テーマパークオペレーション社員」があり、トータルで2000人が転換している。
今後のポイントは働く環境としてのハード面だ。アトラクションや商品施設、飲食施設の近くにあるオフィスの改善を進めている。休憩エリアの壁を塗り替え、椅子を休憩しやすいものに変えるなど、すでに手をつけている。
社員が働くうえで心と体の健康を保つことや、成長を支援することも重要だ。マネジメントが業務のアサインも含め、背中を押して「やってみよう」「一歩踏み出す勇気を持ってください」といった施策をやっている。
仲間や先輩、上司ともっとコミュニケーションをとることも大事かもしれない。チャレンジをする機会があると結果的に会社全体がよくなるし、採用でも「ここで働きたい」という方も増えてくる。きれい事かもしれないが、そういう地道な努力が一番重要だと思う。直接的な賃金の面に加えて、ハード面、心と体の成長など、全体で考えていく。
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