2004年には、総額裁量制の導入に伴い、教員給与の国立学校準拠制度が廃止された。それ以前は、公立学校教員の給与は国立学校教員の給与額に準拠され、どの自治体もほぼ変わりはなかった。しかし、この仕組みが改められ、各自治体が教員の給与額を自由に設定できるようになった。
その結果、多くの自治体が教員の給与を削減し、浮いた財源で教員の数を増やし、少人数学級や特別支援学級を設置するようになったのだ。もちろん、子どもたち一人ひとりに細やかな指導が行われること自体は望ましいことに違いない。だが、三位一体改革で自治体の財政基盤が脆弱化する中、総額裁量制は非正規教員の増加を引き起こすことになった。
非常勤講師が国の負担額の対象に
もう1つは、これに先立つ形で行われた2001年の義務標準法改正、通称「定数崩し」だ。現状、日本の公立学校は小学校が35~40人に1学級、中学校と高校が40人に1学級で編制される。この計算式をベースに教員数が算出され、国の負担額(義務教育費国庫負担金)が決まる。
この負担額は従前、常勤の職員にしか使えなかったが、担当授業のみ受け持つ非常勤講師を含めてよいことにした。これが「定数崩し」と呼ばれる。例えば、正規教員1人分の授業を3人の非常勤講師で分割して受け持つような場合も、教員の給与額の一部を国が負担してくれるようになったのだ。その結果、多くの自治体が非正規教員を増やすことになった。
このように、2000年代前半から進められた「三位一体改革」「総額裁量制」「定数崩し」の三つの政策により、非正規教員は増え続けてきた。
昨今、教育界では教師不足が大きなに問題なっている。実はその元凶ともいえるのが、この非正規率の高さだ。これまで調整弁となっていた非正規教員自体が減少し、正規教員の穴埋めをできない状況に陥っている。公教育が安定を取り戻すためには、公立学校の非正規化に歯止めをかけることが求められる。
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(第3回は「学校だよりで募集をかける「教師不足」の深刻度」)
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