天国でも地獄でもない「煉獄」はどんな場所なのか カトリックが発明、プロテスタントは存在認めず
社会、とくに欧米社会を理解するという意味で、キリスト教についての理解は欠かせません。そのキリスト教において、いま一つはっきりしていないのが、「人は死後、いつの時点で天国もしくは地獄にいくのか」という点です。新著『教養として学んでおきたい聖書』を上梓した宗教学者の中村圭志氏が解説します。
死者は「終末」が来るまで眠っている?
キリスト教の来世といえば、天国と地獄。しかし、死後のいつの時点で天国や地獄に行くことになるのかは、いま一つはっきりしていません。
「ヨハネの黙示録(新約聖書の最後の書)」が描くとおりであるならば、やがて世界に終末が訪れたとき、死者たちがよみがえり、キリストによって最後の審判が行なわれ、善人は「新しいエルサレム(天国)」に行き、悪人は「火の池(地獄)」に放り込まれます。
では終末が来るまでの間、死者たちはどのようにしているのでしょうか? 一説によれば墓の中で眠っています。火葬ではなく土葬が普通であったのは、焼いてしまうとよみがえられなくなりそうだからだとも言われます。
クリスチャンのお墓には「R.I.P.」などと書かれていますが、これはRequiescat in pace(安らかに眠れ)という意味のラテン語です(Rest in peace という英語としても読めますね)。となるとやはり、死者は終末に起こされるまで眠っているみたいですね。
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