哲学塾に日々やってくる"厄介な"塾生たち

哲学科の大学院に通う「唯一の利点」とは?

 仕事で成功しても、私生活が幸せでも、どうせ死んでしまうのは世の必定。かくも虚しい人生において、哲学は救いになりうるのか――。本連載では、“戦う哲学者”中島氏が私塾「哲学塾 カント」の興味深い日常風景に材を取り、四方八方から哲学の実態を語り尽くす。
(写真:まじん / Imasia)

「哲学塾」はこの1月20日で7周年を迎えました(が、前回コラムで書いたとおり過去は「ない」ので、何のお祝いもしません)。

私には根っから経営の才能がないのは言うまでもなく、ほとんど働く才能もないのですが、(そして身内に商売人がいないので)誰からも経営の仕方を学ばなかった。それでもどうにか続いてきたのは、奇跡としか言いようがありませんが、私なりに塾を開くにあたって、お金(受講料)を取ることの意味を真剣に考えてきました。それは、いかに儲けるかではなく、いかに儲けすぎないか、なのです。

「誰のため」の哲学塾なのか

哲学でお金を取るのは、とても心苦しいのですが、そうはいっても、大学は辞めたし、本はそれほど売れないので印税もそれほど入らないし、とにかく生活費を稼がねばならない。と言った瞬間嘘になり、ぎりぎりの生活なら年金と印税で充分賄える。とすると、やはり「本物の哲学をする場」を開くというのがいちばんの動機なのです。

それは、大義名分上はあくまでも自分のために、なのですが、他人のためにも、という動機が混じっていることも否定できません。すなわち、私が若いころにこういう場があったらいいなあ、という場を作ること、そして、(私は他人のためになることをするのが嫌いなのですが)若いころの私のようなごく少数の人の希望を叶えることです。さらに具体的に言いますと、それは大きく2つに分かれる。

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