BA.2は確かに、BA.1に比べて家庭内2次感染率が高い。英国では、BA.1の家庭内2次感染率は10.7%だったのに対し、BA.2では13.6%へと増加した。
また、BA.1から回復後に短期間にBA.2に再感染することがゼロとは言えない。
英国の報告(「SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England Technical briefing 39」)では、昨年12月末から今年1月にBA.1陽性だった18万6896人のうち、31人が20~72日の追跡期間中に再感染した。うち30人はBA.2で、1人がデルタ株だった。BA.1後にBA.2の再感染が1万人に1~2人の割合で起きた、ということだ。
また、同国ではオミクロン株(BA.1)の出現で、再感染率が一気に十数倍に急上昇した。その後、BA.2出現と共に急降下。BA.2が主流になった時点では、ピーク時の半分近くに下がっていた。
急降下がワクチンの追加接種のみによるとは考えづらい。英国は昨年12月中にワクチンの追加接種を実施しているが、接種率は5割程度にとどまる。また、その効果が表れる時期を過ぎてもしばらく、再感染率は2月中頃まで上昇した。BA.2に置き換わって以降は、ほぼ横ばいとなっている。
以上から、BA.1の出現時には、デルタ株以前や何カ月も前のワクチン接種による免疫では用が足りず、再感染の急増につながった。BA.1による免疫獲得が進んだ後はBA.2にも一定の防御が発揮され、再感染率は急降下~横ばいとなった、とも考えられる。
WHOも、BA.1感染によって少なくとも一定期間はBA.2感染から保護されるとしている。
回復後1カ月の知人の再感染リスクは、未感染の人に比べれば格段に低いに違いない。
濃厚接触者を十把一絡げの「非科学的」態度
話を濃厚接触者に戻そう。
もちろん国のいう「濃厚接触者」に該当した場合でも、感染歴次第で自宅待機を免除するような運用がなされていればいい。
政府は濃厚接触者の扱いについて、方針を軟化させてきた。待機期間は、当初の14日間から10日間、7日間へと、少しずつ短縮され、3月17日には、家庭内感染があっても2日間(4・5日目)連続で検査が陰性なら、「5日目に待機を解除」できるとした。
だが、感染歴は一切検討された様子がない。
待機期間を短縮してきた根拠について、内閣官房の資料「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針変更」は、「これまでに得られた科学的知見に基づき」としている。
この「科学的知見」とは主に、同書面の「オミクロン株の特徴(潜伏期間と発症期間が短い)」あたりを意味するのだろう。
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