英国は対コロナ規制緩和が最も進んでいる。国による検査や濃厚接触者の追跡等は、今年2~3月にかけてすべて終了した。感染者であっても隔離は義務ではなく勧告レベルとなった。
濃厚接触者にいたっては、ワクチン未接種の場合の隔離義務は早々に廃止、接種完了者に推奨されていた7日間の検査も終了した。一般向けの無料検査ももはや行われていない。完全な「withコロナ」体制へのシフトだ。
フランスは今年1月から、未接種の濃厚接触者のみ7日間の隔離義務を課し、接種済みあるいは感染回復者は検査(抗原or PCR)陰性なら隔離が免除されていた。
さらに3月21日からは、ワクチン未接種のまま感染者と濃厚接触があっても、隔離は一切不要で検査のみ求められることとなった。個人の自由を尊重する国である。
シンガポールでは、濃厚接触があった日から5日間、外出時には自宅で簡易検査を行い、陰性が確認されれば出かけてよいとなっている。ワクチン接種歴や感染履歴は関係がないようだ。
「withコロナ」なら、回復者の考慮は必須
こうして先進各国は、感染状況や予防接種の進み具合等の違いはありつつも、概して規制をどんどん外している。経済再建が大きな理由としても、個人の自己決定権を重んじる国民性や政治体制も垣間見える。
日本国内でも今後しばらく、新型コロナからの回復者が毎日数万人単位で生じるだろう。現行方針では、彼らは再感染の恐れが非常に低くても、「濃厚接触者」となれば自宅待機を免れない。
あまりに理不尽だ。無事回復したと思ったら、またすぐに非科学的で非合理的な国の方針に縛られる。ようやく経済・社会活動に復帰しようという個人や企業が、次々と出鼻をくじかれる。社会全体にも、じわじわとダメージを与え続けるだろう。
少なくとも回復から90日以内の人たちについては、早々に対応を見直すべきだ。
もっと言えば、「濃厚接触者」のみに厳しい行動制限を求める根拠もゆらいできている。
感染性の非常に高いオミクロン「BA.2」が主流となった今、誰がどこで市中感染してもおかしくない。
と同時に、デルタ株流行時に比べてオミクロン株以降、患者さんたちの症状が明らかに軽くなっていることは、現場で診療にあたる身として肌で感じている。
これではわざわざ受診しない人も多いだろうし、それで済むものなら悪いこととは言えない。得体の知れないウイルスへの不安も解消されていくことと思う。そのかわり、誰が誰にうつすかは、ますます把握できなくなってくる。
「withコロナ」とはそういうことだ。
先進各国に後れを取らないよう「withコロナ」で社会を回していくのなら、濃厚接触者の扱いにも、どこかで区切りをつけるしかない。ワクチンと治療薬の開発も進んできた今、新型コロナがインフルと同レベルに扱われる日は、そう遠くはないと感じている。
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