確かにオミクロン株では、「潜伏期間」は短い。
アメリカCDCによると潜伏期間の中央値(データを大きい順に並べたときに、ちょうど真ん中にくる値)は3日とされている。従来株の中央値は5日以上、デルタ株でも4日近くとされ、それより1~2日早く発症することになる。
もう一つの「発症期間」については、おそらく「発症間隔」の誤りだろう。
発症間隔とは、ある感染者の「発症」から、別の人へと感染させて「発症」させるまでの時間をいう。感染しやすさや感染拡大の予測を立てる指標の1つとなる(本来は、「感染」から次の「感染」までに要した時間を見るべきなのだが、無症状感染や潜伏期間の問題からそれは困難なので、発症間隔で代用する)。
国立感染症研究所によれば、国内の30組(うち9組が家庭内感染)の発症間隔の中央値は2.6日だった。全体の95%が0.7~4.9日、99%が5.4日以内だった。
これらの数字を踏まえると、「2日連続で陰性なら5日目に待機を解除」する指針は概ね「科学的」で妥当に見える。
だが、直近の回復者でも「濃厚接触者」として一律に扱われるのは、「非科学的」でナンセンス、議論が不十分と言わざるをえない。
濃厚接触者を「合理的に」緩める欧州各国
ほかの先進諸国では、回復者が理不尽に行動制限を強いられる状況は見当たらない。
濃厚接触者の扱いについて、私が最も実践的で参考になると感じているのは、アメリカCDCのガイドラインだ。自宅待機(隔離)すべきかどうか、3つに明確に場合分けされている。
⇒ 自宅待機は不要、検査を受ける
●ワクチンの追加接種まで未完or未接種
⇒ 5日間の自宅待機、検査を受ける
●90日以内に自身が感染した
⇒ 症状が出ない限り自宅待機も検査も不要
ドイツもアメリカとほぼ同様だ。予防接種を最近完了した人(ファイザーなら2回)や、追加接種を受けている人、そして新型コロナに最近かかって回復した人(90~28日前まで)は、隔離が免除される。
オーストラリアでも、12週間(84日)以内に感染し回復した人は、検査も隔離も必要ない。一方、感染経験者以外については意外と慎重で、簡易検査で陰性でも7日間隔離を求められる。6日目の簡易検査が陰性かつ無症状なら、やっと解放される。ただ、ワクチン接種についての言及がないのは不思議だ。
もっとユルいのが英国とフランスだ。
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