「奨学金480万円」女性が田舎の親に"今思うこと" 「借りられるものは借りておけば?」が危険な訳

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お金の計画について口を酸っぱくして言うのは、やはり父の存在があるからだ。地元への強制送還から1年後には、父はケロッと車を購入。本来、中島さんが当時200万の借金を肩代わりしなければ、父は返済できずブラックリストに載っていたはずだが、中島さんが一部返済したことで延滞せずに済み、車のローンという新たな借り入れの審査に通ってしまったのだという。

父親の一方で母親も「相当だった」

「こんなことなら借金を肩代わりせずにブラックリスト入りさせておけばよかったですよね(笑)」と呆れつつ、中島さんは「地方の貧困家庭の親が、多額の奨学金を子どもに勧めること」に対し、こんな持論を述べた。

「私が多めに奨学金を借りたのは、母が『借りられるものは借りておいたら?』と言ったからでした。でも、母親は正社員ではあるものの、田舎ということもあって手取りで10万円程度です。これ、私の奨学金の月の貸与額と同じなんですよね。

つまり、自分では到底返せない額のお金を、無知がゆえに娘に借りさせた……ということになるんです。奨学金を借りた当時は私もマネーリテラシーが低すぎましたが、親も相当だったと思います」

なにはともあれ、長年の奨学金返済生活から解放された中島さん。これから貯めたお金を自らへの投資に使うことが今年の目標で、1発目の投資は「歯並びを治すこと」に費やすそうだ。

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。
千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。

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