また、当時は中堅の不動産会社に勤務していたので、同業界のより大手の会社に勤務するエリートな同世代たちよりも給与が低く、すでに奨学金という借金を持っているカツカツな自分と比べてしまい、よく落ち込むこともありました」
このように、お金に悩むことの多い30代前半までを経験した中島さんだったが、1年ほど前に、奨学金を一括返済したという。
「奨学金の金利は低いと言われることが多いですが、利率固定方式だったこともあり、私の場合は1%以上でした。結婚を契機にマンションを購入したのですが、金利は0.4%台。『家より金利が高い借金ってなに?』と思うようになったんです」
第二種奨学金の利率の算定方法には、(1)利率固定方式(2)利率見直し方式の2つがある。第二種奨学金を申し込む際にいずれか一方を選択することになるのだが、この利率の算定方法は、貸与期間が終了する年度の一定時期まで変更することができる。
つまり、大学1年生~4年生まで借りた人の場合、4年生の時点で変更することができるのだが、逆に言えば卒業後、より正確に言えば貸与期間の終了後に変更することはできない。
そして、(1)の利率固定方式では、貸与終了時に決定した利率が返還完了まで適用されるのに対し、(2)の利率見直し方式の場合、貸与終了時に決定した利率は、約5年ごとに見直される……という違いもある。
今の市場金利が低さだと、(2)の利率見直し方式を選んでいた人は少ない利息で済んでいるが、中島さんのように(1)の利率固定方式を選んでいた場合、それよりも大きくなったのだ。
もちろん裏を返せば、今後、金利が大きく上昇した場合は、(1)の利率固定方式のほうが利息が少なくなる可能性もあるということだが……。(なお、貸与利率についての詳細は日本学生支援機構のHPにてチェックしてほしい)
ハンディは挽回できるが大変なのは事実
良くも悪くも、奨学金があったおかげで一生懸命に働くことができ、今の生活に至ったと振り返る彼女。
「やっぱり、月に2万円のキャッシュがないというのは大きかったです。20代後半〜30代前半で結婚を考えるようになると、『借金がある自分ってどうなんだろう?』『かと言って一括返済しても、余力が残るほど貯金はないし……』みたいな考え方にもなりますから。
大学に進学したいのに金銭的な理由で諦めるぐらいなら、奨学金を借りてでも進学したほうがいいとは思います。スタートは地方国立大学・中小企業でしたが、今はステップアップして東大・京大卒の人たちと働いています。貧しさによるハンディは、社会人になってからでも挽回できます。
ただし、借りる金額はきちんと計画したほうがいいでしょう。私のように、有利子の場合はとくにそうです」
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