伊佐山:いろいろと便利なことができる。なにしろ、誰がいつ入ったかを管理できるので、これだけでも相当、使えると思います。
入山:アパート管理、マンション管理にも使える。オフィスの入退室管理にも使える。
伊佐山:まず僕らがこういうものを作りたいと考えたんです。シリコンバレーにすでにある、多くのベンチャーの製品がアイディアの源でした。そして出資者に対して聞いてみたところ、どこも作っていなかった。そこで、ソニーにお声掛けしたところ、エンジニアの有志が集まってくれて、プロトタイプ作ってくれたんです。しかも、期間としてはわずか数カ月です。大企業の常識では絶対ありえないスピードで動いてくれました。
入山:それは、すごい。ソニーは本当に変わり始めたのかもしれないですね。
伊佐山:僕がいちばん大事だと思っているのは、外部を使うことによって、大企業の中ではありえないスピードで1つのプロダクトを実現できるのだということを示したことだと思っています。これがソニーのプロセスでやったら、おそらく数年かかる。我々がプロデューサーとしてベンチャーの感覚で進めたので、ものすごくスピードを速めることができた。特にベンチャー的な新事業の立ち上げに精通している、WiLの共同創業者の西條が現場に入って動かした点も大きい。
ソニーのエンジニアのレベルはムチャクチャ高い
入山:プロジェクトに加わったソニーの若手のエンジニアをどう評価しますか。
伊佐山:レベルがムチャクチャ高い。エンジニアだけではなく、今回はデザイナーも入っていますが、どう考えても日米ベンチャー問わず、レベルが違うとしか言いようがない。でも、まだ一つの例なので、継続して次々とこういうものをやっていきたい。ソニーにはそういう人材がたくさんいるはずですよ。
入山:やっぱり、ソニーが潜在的に持つ人的リソースはすごい、ということですね。
伊佐山:そうです。ただし大きな課題があった。スキル、技を持った人がいっぱいいますが、引っ張っていく力がなかったんですよ。さあ、みんなやるぜ!と言ってウワーッて引っ張ってく人がいない限りは動けない。ダメな理由を考えすぎちゃって結局、何もできない、ということになってしまうんです。
だけど裏を返せば、これってものすごいチャンスでしょう? 日本の大企業には、すごく頭もいいし、いい技を持ってる人がいっぱいいる。あとは、ワーッていうお祭りリーダー的な人がいれば、動けるんですよ。でも今、日本の社会には、そういう人がほとんどいないんですね。出る杭の多くは叩かれている。
入山:なるほど。そうか、そうか。
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