日本人は世界最先端を知らない
伊佐山元(以下、伊佐山):岩瀬さんとはライフネット生命保険を立ち上げられた時期からの付き合いで、規制が多く、既得権益のしがらみがある業界で起業し、ずっと「こういう人がヒーローになってほしい」と思っていた。現在、日本で成功し、世界経済フォーラム(ダボス会議)など世界を飛び回り、僕が想像していたような、若い人たちが目指すべきヒーローになった数少ない人。今日は岩瀬さんと「世界で活躍する人材」から「日本のベンチャーシーン」まで幅広く話せればと思っています。
岩瀬大輔(以下、岩瀬):僕の中で「グローバル日本人」と言えば、伊佐山さん。シリコンバレーで10年、ベンチャーキャピタリストをして、シリコンバレーと日本だけでなく、中国のベンチャーの支援もやってきた。ある意味、世界で活躍する“無国籍人”のように見えるのですが、これまでの経歴をどのように振り返りますか。
伊佐山:褒めても何も出てこないよ(笑)。僕がシリコンバレーで働き、さまざまな国のベンチャーにかかわったのには、2つの理由があると思っています。ひとつは、僕ができるかぎりさまざまな場所に「首を突っ込んできた」から。海外の企業は「こいつ便利だから」とかではなく、直接会って感覚が合うから「手伝ってくれないか」と頼まれることが多い。論理的にというより、直感的です。直感だから全員が全員、合うわけではありません。
また、こうした機会は、共通の知り合いからの紹介が多い。これも結局、仲のいい起業家や同業他社、事業会社の経営層といった人からの紹介になる。これも直感的。ただ、こうした直感が合うということは“まれ”なわけで、待っていても何も始まらない。だから、人と出会う機会を数多く作る必要がある。僕はカンファレンスなどに積極的に足を運び、また誘われたら、あらゆる場所・機会に必ず出向きました。シリコンバレーには、起業家のホームパーティなどもよくあるのですが、そこにも足を運んでいますね。
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