詳しくは後日解説したいが、それはゴルフの広告効果であったり、ゴルフをする環境であったり、ゴルフのスポーツとしての人気であったり、さまざまな要素がある。プロゴルフの試合を見せることに金を出す人がいること、金を払ってでも見たいという人がいること。日本ではまだまだそこまで「見るスポーツ」として根付いていないし、トーナメントを作る仕組みも違う。
プロゴルファーのステータスは「賞金額」が大きな位置を占めているのは、世界共通だ。ゴルフの技術からいうと「平均ストローク」という、年間を通した1ラウンド平均のスコアのよさが一番のステータスで、プロゴルファー自身も賞金王、賞金女王よりも平均ストロークの数字の方を重要視しているのだが、報道などで大きく報じられるのは、やはり「カネ」の方。誰しも「人の財布の中身」には興味があるものだ。強ければ稼げるという単純なバロメーターでもある。
優勝賞金は1試合ごとに違うため、1勝が金額的に言えば同じ価値があるということにはならない。ただ、1年間に勝てるのはそう多くない上に、試合に上下はあまりつけられないので、勝ち星は意外と比較しにくい。年間最多勝とはいっても「年間勝利王」とは言わない。
ゴルフ界の賞金王に価値がある理由
プロ野球のように投手の奪三振、打者の本塁打や打点など数字の幅が大きければ比較しようがある。逆にプロ野球では「年俸王」というタイトルは存在しない。ゴルフで獲得賞金が「王」「女王」に価値があるのは、1年間プレーしてコツコツと積み上げたものだと、認められているから。その選手が1年間戦った「勲章」だといえる。積み重ねた賞金だから、ランクによって試合出場権のシード権が得られる。プロ野球で年俸によってレギュラーが決まることはない。ちなみに、米ツアーでは2013-14年シーズンからは翌年のシード権(試合出場権)をポイント(フェデックスポイント)で争うようになり、「Money Winner」は別に存在する。
日本人として、米国でその「Winner」になった選手が1人いる。岡本綾子だ。1987年に米女子ツアーで日本人初の賞金女王になった。獲得賞金は46万7149ドルだった。この時は、ゴルフファンはもちろん、ゴルフを知らない人でも、岡本の賞金女王に注目した。
というのも、前年も賞金女王争いを最後まで繰り広げて逃しているから、なおさら「今度こそ」の期待が大きかった。決まった時は、新聞でももちろん1面で取り上げ、テレビニュースでも大々的に報じられ、大きな関心を呼んだ。「国民栄誉賞を」という声も当然のように上がったが、残念ながら見送られた。真偽は分からないが「たくさん稼いだことが、栄誉なのか」ということが議論になったとも、当時は言われていた。賞金女王になったからだけではもちろんないが、岡本は「世界ゴルフ殿堂」入りしている。
日本の賞金王になった石川、松山が、いまシーズンもそろって米ツアーで戦っている。「Winner」になろうものなら、日本は大騒ぎになるだろう。
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