GG佐藤、4度のクビを味わった男の再出発 “波乱万丈以上"の野球人生からビジネスの世界へ
今年10月10日、午前0時ちょうど。
1人のプロ野球選手が、自身の公式ブログの公開ボタンとともに、現役生活に別れを告げようとしていた。
「じゃあ、そろそろ押します…」
記事のタイトルは『引退のご報告。そして感謝!』。そして、アップと同時に千葉ロッテマリーンズのGG佐藤(36=本名・佐藤隆彦)がそっとユニフォームを脱いだ。
「引退です」
「本当に、お疲れ様でした」
そんな短いやりとりを交わすことが精一杯だった。取材対象の人生の岐路に立ち会えることは取材者冥利に尽きる。挑戦、挫折、栄光、復活――。しかし、いざ引退となると、さまざまな思いが去来して素直に受け入れられない。
GGがポツリと呟いた。
「よくやった、と言ってください」
この言葉に、彼が味わってきた野球人生の重みを痛いほど感じた。
北京五輪でまさかの守備ミス
波瀾万丈、ではなく“波瀾万丈以上”。GGの野球人生は、本当に起伏に満ちていた。
その頂点は2008年にオールスターファン投票で両リーグ通じてトップ当選、さらに北京五輪で日本代表となり日の丸を背負ったことだろう。だがその直後に地獄が待ち構えていた。準決勝の韓国戦でまさかのエラー2つ。3位決定戦でも落球して「メダルを逃したA級戦犯」と大バッシングを受けた。「死にたい」と家族にメールするほど精神的に追い込まれた。
それでも復活して年俸1億円プレーヤーになったり、過呼吸症候群で倒れたり、異国の地イタリアで野球をやったり、帰国後に千葉ロッテで奇跡の日本球界復活を果たしたり――。まるで終わりの見えないジェットコースターのように、激しい上下動を繰り返し続けた現役生活だった。
その過程で、幾度となくクビを宣告された。