プロ野球界の”リストラ”を描き続けた男

菊野浩樹プロデューサーが番組に込める思い

 華やかなプロ野球の世界。活躍した選手には、名誉と莫大な報酬がもたらされる。
 しかし、高年俸を稼ぐスター選手の裏には、競走に敗れ、表舞台から去りゆく選手がいる。そんな「戦力外通告」を受けた選手を、ドキュメンタリーで描いてきたのが、TBSテレビの「戦力外通告 クビを宣告された男達」だ。
 過去10年にわたってプロ野球選手を追いかけてきたTBS「バース・デイ」取材班と、スポーツジャーナリスト石田雄太氏が、3回に渡り、プロ野球界のもうひとつの姿をレポートする。
 第2回目は、チーフプロデューサーの菊野浩樹氏に、番組に込めた思いを聞いた。
TBSテレビの菊野浩樹プロデューサー。「プロ野球戦力外通告」以外にも数多くの番組を担当する

※ 第1回:元格闘家、古木はもう野球をあきらめたのか

なぜ土俵際の男たちを追いかけるのか

平成8年8月8日――。

後にTBSのプロデューサーとして活躍する菊野浩樹が、その日に妻と入籍することにこだわったのには、明確な理由がある。

「原辰徳さんの大ファンだからです。子どものときは相模原に住んでいて、小学1~2年生の頃に東海大相模が甲子園に出る姿を目の当たりにしました。もともと好きだったジャイアンツに原さんが入って、ますます熱狂的なファンになっていきましたね」

幼少からの“原体験”は、プロデューサーとなった菊野に多大な影響を与えている。「SASUKE」などの人気番組を手掛けた彼の代表作が、「プロ野球戦力外通告~クビを宣告された男達~」だ。

もともとは1999年に始まった「ZONE」というスポーツドキュメンタリー番組で、故・永沢光雄の「強くて淋しい男たち」に触発されて誕生した企画だった。第1回は1999年オフに日本ハムから戦力外通告を受けた石井丈裕(現・西武投手コーチ)を取り上げ、好評を博して定期的に特集を組んでいく。「ZONE」が2004年9月に最終回を迎えると、同年12月、「激動のプロ野球総決算 クビを宣告された男達」というタイトルの特番として放送された。以降、9年連続で歳末や年始に戦力外通告を受けた選手たちの姿を描き、今年の12月30日、10回目を迎える。

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