プロ野球界の”リストラ”を描き続けた男 菊野浩樹プロデューサーが番組に込める思い
戦力外選手の「再就職」にも影響
菊野が宮地や大越の「戦力外通告」を描いた翌年の2004年。球界再編騒動が起こったこの年、プロ野球選手会は合同トライアウトの前に、球団独自の入団テストを行わないように申し入れた。
元プロ野球選手が高校の監督になるには教員資格の取得、そして2年間の教員歴を必要とされていたが、2013年6月、プロとアマチュアの2段階の研修を受ければ、資格を回復できるようになった。
戦力外選手の“再就職”に、菊野たちの番組が影響を及ぼした部分は少なからずある。
「どんな制度がいいとか、悪いとか言うつもりはありません。ただ、視聴者の皆さんには少しでも現実を知ってほしい。その中で制度が変わっていく意義を感じながら、番組を作っています」
2013年シーズン、プロ野球界ではさまざまな物語が生まれた。中でも多くのファンに響いたのは、東北楽天イーグルスが球団創設9年目に飾った初優勝だろう。大のつく巨人ファンの菊野だが、日本シリーズは「負けるべくして負けた」と振り返る。
「負けちゃったのは、今年のジャイアンツには物語がなかったからだと僕は思っています。楽天には東北の復興や、マーくんの『もしかしたらラストイヤーになるかも』といったさまざまな側面の物語がありますが、実のところ、星野監督の執念かもしれませんね。星野仙一さんは中日でも阪神でもリーグ優勝したけど、日本一にはなっていないじゃないですか。仙台で日本一になるために生まれてきたから、仙一なんだなって思いましたね」
ストーリーテラーの素顔は、ロマンチックな男だ。菊野の情熱があふれ出るような話し振りに耳を傾けていると、「戦力外通告」が野球ファンの胸に響く理由がわかる気がした。
(撮影:今井康一)
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