初栄冠の楽天を襲う“マー君移籍”の試練 堅実経営で球界を変えた楽天、来季も維持できるか
球団創設9年目の東北楽天ゴールデンイーグルスが初の日本一に輝いた。2004年の球界再編騒動で生まれた新球団が、両リーグの頂点に立った意義は大きい。「年30億~40億円の赤字は当然」とされていた球団経営に、新しい哲学を持ち込んでの優勝だからだ。
参入1年目の05年、楽天は首位と51.5ゲーム差の最下位だった一方、広告スポンサーとグッズ販売だけで25億円売り上げ、単体で1.2億円の営業利益を計上した。球団は親会社の広告塔ではなく、ビジネスとして成立させなければならない──。楽天の成果により、球界の常識は塗り替えられた。
今季栄冠に輝いた背景にも、巧みな球団経営がある。12年夏就任の立花陽三社長は、日本一と黒字化を託された。同年は4位に終わったが営業赤字幅を縮小。単体最終赤字は前期の3400万円から54万円と、トントンの水準に持ち込んだ。
「勝たなければファンは足を運んでくれない」と考えた立花社長は、短期戦術と長期戦略を打ち出す。
開幕前、アンドリュー・ジョーンズ、ケーシー・マギーという元大物メジャーリーガーを獲得。今季、二人は計187打点と打線の核になった。合計4億円の推定年俸を払ったが、余剰戦力を整理したことで、チーム総年俸を前年と同じ約23億円に抑えた。
長期戦略としては、球団創成期にまいた種が実を結んだ。高卒7年目の、マー君こと田中将大が開幕24連勝の活躍を見せ、同8年目の銀次は首位打者を争うまでに成長。強いチームにファンは虜になり、観客動員数は昨季から8.8%増の128万人に。12年に8億円だったグッズ売り上げは13億円に達する見通しだ。
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