初栄冠の楽天を襲う“マー君移籍”の試練 堅実経営で球界を変えた楽天、来季も維持できるか

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ドラフトは高校生狙い

エースであると同時に、営業面でもチームの顔である田中の穴を、いかに埋めるのか。日本一達成の10日前、来季以降を占ううえで、興味深い選択がなされている。新人選手を獲得するドラフト会議で、桐光学園の松井裕樹を1位指名したのだ。計5球団による抽選で左腕投手の当たりくじを引き当てた立花社長は今夏、本誌取材にこう話している。「長い目で球団運営を見た場合、18歳から在籍してくれたほうがいい。うちのコアになる選手を取り続けたほうがファンに愛されるし、球団に長くいてくれる」。

それまでの楽天はドラフト1位で即戦力の指名を続けてきたが、立花社長就任以降、森雄大、松井と二人続けて高校生投手を指名した。高い潜在能力を秘め、看板になれる投手──つまり「第二の田中」を求めているのだ。

エースの穴を埋めるのは容易ではない。しかし長期的視座に立ち、「第二の田中」を作るための手は打ってある。彼らの才能が花開くまでの間、則本昂大や銀次ら今季台頭した戦力が中心となり、上位争いを続けることができるか。勝利の快感を知ったファンを引きつけるためには、向こう数年の成績が重要になりそうだ。

今後もメジャーリーグへの移籍を目指す選手は出てくるだろう。主力の離脱でチーム力を落とさないためには、今年のように若手の台頭してくるサイクルを作ることが重要だ。一度きりの栄光に終わらず、常勝軍団の地位を固めて黒字化を果たすためには、ブレずに長期戦略を続けていくことが大切になる。

(週刊東洋経済11月16日号(11月11日発売))

中島 大輔 スポーツライター

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なかじま だいすけ / Daisuke Nakajima

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。2005年夏、セルティックに移籍した中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた「野球消滅」。「中南米野球はなぜ強いのか」(亜紀書房)で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。NewsPicksのスポーツ記事を担当。文春野球で西武の監督代行を務める。

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