(第46回)組織は変化に対して自己改革できるか?

(第46回)組織は変化に対して自己改革できるか?

これまで、日本の半導体産業と、アメリカを代表する二つの巨大企業であるIBMとAT&Tについて、1990年代以降の環境変化への対応(あるいは不対応)がどのようなものであったかを述べてきた。この経緯の分析は、日本経済の再生を考える際に大いに参考となる。

ここから得られる結論をあらかじめ述べれば、次の2点だ。

第一に、過去に成功した組織が環境の変化に直面した場合、その改革は極めて困難だ。第二に、(当然のことだが)改革しても方向付けが誤っていれば失敗する。そしてどちらにおいても、市場機構が重要な役割を果たす。

今回は、まず第一点について見ることとしよう。

日本の半導体産業、IBM、AT&Tのいずれもが、80年代中頃までは順調に事業を進めてきた。日本の半導体産業の生産シェアは、世界の過半を占めていた。IBMはコンピュータで絶対的な強さを誇り、特に「システム360」の成功後は、ほかのコンピュータ企業の追随を許さなかった。AT&Tは、アメリカの電話サービスを独占していた。

ところが80年代の後半頃から環境が大きく変化した。いずれのケースにおいても、直接的な原因はIT(情報通信技術)の進歩である。これに加え、日本の半導体産業では韓国など新興国メーカーの勃興が、またAT&Tでは反独占裁判の結果が影響した。第2次大戦以降続いてきた世界経済の基本構造は、大きく変化したのである。

このため、それまでの主力業務(日本の半導体メーカーでは大型コンピュータ用DRAMの生産、IBMの場合は大型コンピュータの生産と関連サービス、AT&Tは電話サービス)が、企業の成長を支えることができなくなくなった。この事態に対処するには、ビジネスモデルを基本から転換しなければならない。

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