柔道や剣道、空手では基本的な精神を「礼に始まり礼に終わる」と表現する。「礼」とは相手に正対し、腰から上半身を折って頭をかがめ、敬意を示す行為を指す。武道に限らず、相手がいれば常に「礼を尽くす」のが大人の礼儀だ。礼節という言葉もあるし、ビジネスマナーという言葉を使うこともある。
相手を尊重するために謙虚な姿勢を示すことが礼儀。面接の開始時に頭を下げて「よろしくお願いいたします」と挨拶(お願い)し、終了時にも頭を下げて「本日は貴重な時間を割いていただき、ありがとうございました」と御礼(ありがとう)を述べる。そして、すべての会話は敬語で行われる。
面接はこのような基本的なマナーを前提にしているが、その前提を守らない学生がいる。これは即「アウト」判定だ。
面接担当者のなかにはフランクに話す人がいる。「ふーん」「そうか」「オレの時代には」「それは違うね」などの語り口を聞くことがあるだろう。だからといって学生が対等なタメ口を使っていいわけではない。
「基本的なマナーを備えられていない学生。質問に対する回答がズレてしまう学生。用意してきたことしか話せない学生」
「主体性がない。敬語が使えない。志望度が感じられない」
トンチンカンな回答に不満
人事にとって面接の目的とは、言葉の応接によって学生を理解することだ。理解して自社への適性を判断する。ところが、理解できない類の学生がいる。面接官の質問の意図をくみ取れず、トンチンカンな回答をする学生だ。人事の不満コメントを読むと、かなりの数の学生がコミュニケーション不全らしい。
「早口や、質問に対する答えが的はずれの学生」
「質問の意図の理解が不足している学生」
こういう学生は、面接に関する基礎から学習しなければならない。ただ、面接の基礎から学んで、きちんと応接すればそれでいいのかというと、それだけではない。その内容が問われるのだ。
「面接」と検索すればたくさんの想定問答や注意事項を知ることができる。一生懸命に読めば一通りのスキルを身に付けることは可能だろう。模範回答を読めば、「ああこういうふうに話せばいいんだな」と強く影響されるだろう。そこに落とし穴がある。
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