就職してしまえば学校名が何かに直接役立つことは少なく、むしろ今必要とされているのは世界のどこでも活躍できる「グローバル人材」。それも単なる英語力というよりは、視野の広さや経験の豊かさなどが求められます。自分の子どもに必ずしも東大に入ってほしいと思わない背景には、「東大さえ入っておけば安泰」という時代ではないという東大卒業生としての実感もありそうです。
色濃い「やりたいこと重視」の姿勢
さて、これまでの回答を見てお気づきかもしれませんが、「思う」「思わない」両方の回答に共通して非常に多かったのは「本人の意思を尊重するが」「子どもの好きな道であれば」という自由記述でした。全体として「自己選択」「やりたいこと重視」の姿勢は非常に色濃いものでした。
・結果的に子どもが望むならいいが、強要は絶対したくなく、好きな道に進んでほしい。(2001年経済学部卒)
・大学受験よりも、自分が何をしたいかをちゃんと考えてほしい。ある程度の大学ならあまり大差ないと思う。(2007年法学部卒)
・自分自身で行きたいと思って一生懸命努力して入るなら、どこの大学でもいい。(2005年文学部卒)
・好きな分野で社会貢献できるようになるためのベストの場所を選んで欲しい。私は東大でたまたまいい機会が得られたが、子どもたちが将来したいことによって、ベストな大学は異なる。その選択の結果が東大ならうれしいけれど、東大でなくてもかまわない(2001年経済学研究科卒)
一方、「やりたいこと」が見つからなかった場合には、「東大」をオススメする向きもあります。
・好きなことを見つけてそれに向かって楽しんで頑張ってくれた、東大でもそうでなくてもどちらでもいい。ただ、やりたいことが特に見つからなかったら、東大のほうが困らないのではないかとは(2009年文学部卒)
・「学問的」な部分を追及したいならば、東大がいいとは思うが、本当に本人の行きたい道を尊重したい。たとえば、芸術が優れているなら美大系の大学があるし、もしくはプロ囲碁棋士などにでもなりたいなら、大学は行かなくてもいいと思う。ただ、特にやることが決まっていなくて、ある程度、勉強ができるならば、東大に行くのはいいオプションだと思う。(2005年経済学研究科卒)
東大ママ門立ち上げ人の中野円佳の著書『「育休世代」のジレンマ』でも、1980年以降の「個性重視」教育や「自己分析」を中心とする就職活動などの「自己実現プレッシャー」について書かれていますが、「やりたいこと」「自己選択」の重視は、子どもへの期待にも現れているようです。
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