親1万人の悩みを聞いて考えた「子育て5つの視点」 あれこれ正解を探して焦るより必要なこと

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そこでアプローチを変えます。「一緒に片付けをやろう」「写真のように片付いた状態に何分でできるかな」といったこれまでとまったく異なるアプローチをすると、子どもの反応も違ってきたという話はよく親御さんから聞きます。

(4)上から目線より、水平目線

自分の子どもに対しては、無意識のうちに自分よりも下に見ることがあります。例えば、命令形(〜しなさい)、脅迫(〜しないと〇〇になるよ)などの言葉を使っているとしたら、その傾向が強いかもしれません。

しかし、子どもは親のことを上の立場の人と見ていない可能性があるのです。もし上の立場と思っているなら、親の言うことはすぐに聞くはずです。また、親に対し、ため口をきいてくるということは、上の立場というより“同僚”のような感覚で親を認識しているのではないかと考えられます。

親が上から目線で対応することは筋違い

実際、子どもたちに「親に対する上下関係の意識」について調べたことがあります。そのとき多くの子どもたちが語っていたのは、「別に上とは思ってない」という回答でした。この言葉に多くの親御さんは愕然とするかもしれません。しかし、自分が子どものとき、親に対してどういう認識を持っていたか思い出せば、ある程度納得できるかもしれません。

もしこの仮定が正しければ、親が上から目線で対応することは、とんでもない筋違いなことをやっていることになります。

そのときは上から目線ではなく、水平目線の対応を試してみましょう。
子どもは経験と知識が少ないため、ときには間違ったこともします。そのときは教えてあげればいいと思います。わからないこと、できないことは、叱るのではなく教えることから始めます。水平目線で対応することで、子どもとの関係が信頼に基づくものに変わっていくと思います。

(5)どうすればよくなるかではなく、どうすれば楽しくなるか

多くの質問を受ける中で感じることは、「どうすればきちんとした子になりますか」「親から言われなくても自分で動く子になりますか」という趣旨の相談内容が多いことです。もちろん、その気持ちは大切です。子どもが今よりもよりよい状態になることを望まない親はいないと思うからです。

しかし、よくすることに気持ちが集中すると、どうしても、目先の方法ばかりを求めてしまいます。またよくならないと、焦り、不安、イライラがでてきます。するとちぐはぐなことをやってしまうことになります。

そこで、どうすれば子どもが今よりよくなるかではなく、「どうすれば楽しむことができるか?」という視点を持つことを提案します。楽しむうちに、肩の力が抜け、自然なやりとりができるようになるからです。それがやがてよい結果をもたらすことにつながります。

以上、5つの視点についてお伝えしました。この5つをベースにお子さんに合ったアプローチを考えてみてはどうでしょうか。

その子の5歳は二度とやってきません。来年は6歳になります。5歳の子と共にいる今を大切に楽しんでみてください。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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